PiPi's World 投稿小説

学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 22
 24
の最後へ

学校で死のう! 24

――どうしよう……おっ?
先生を起こす術が見つからず途方に暮れかける哀徒だったが、不意に宿直室に設置されている固定電話がその目に映った。そうだ、これで外に連絡を取ろう。状況からしてまだ救急車は呼べないが、パトカーなら呼ぶ事が可能だ。国家権力の方々にミルキュリア達を捕縛してもらえば万事解決する(かも知れない)。もちろん警察といえどもミルキュリア達には苦戦するだろうが、このまま一人で事態の打開を図るよりは遥かにマシに決まっている。
――そうと決まれば!
早速哀徒は受話器を取り、例のパンダ色の車を呼びにかかった。当然の事ながら、学校に魔法使いが現れましたなどと馬鹿正直に言う気はサラサラない。そんな事をすれば悪戯だと片付けられるのがオチだ。ここはオーソドックスに、『武器を持ったテロリストが侵入しました』とフカすのがベストだろう。向こうは正確な状況を知らずに来る事になるが、この際我慢してもらうしかない。
ところがである。受話器を耳に当てた哀徒は何かおかしいと違和感を感じた。全く音がしないのだ。番号を押しても反応がない。
――んっ……?
哀徒は一度受話器を置き、もう一度掛けてみた。だが結果は同じだ。明らかに不通になっている。
――まさか、電話線を切られている?
普通に考えればそういうことになるだろう。だがミルキュリア達ならそんなことをせずとも学校の中と外の連絡を絶つことができるのかも知れない。そんな風に哀徒は思った。
――だとすると……
哀徒は倒れている先生の体を探り、携帯電話を探し出した。電源は切れていない。だが普段は通じているはずの電波が通じていなかった。当然いくら通話を試みても先方に繋がる事はない。
「やっぱりね」
哀徒は携帯電話を閉じ、先生のポケットに戻した。哀徒には逃げられたミルキュリアだが、なかなかどうして抜け目がない。少しばかり深刻な状況である。
――どうしたらいいんだ、俺は?
今更ながら、哀徒は自分の行動が行き当たりばったりであった事を思い知る。先生が元気だったら一緒に逃げよう、怪我していたら手当てしようぐらいに考えていて、それ以外の不測の事態についてはまるで検討していなかったのだ。もっともこの状況で計画的に振る舞えと言うのは、いささかきつい注文かも知れないが。
どちらにしろ、いつまでもここで悩んでいるのはまずい。ミルキュリア達はこの部屋に先生がいる事を知っている。何かの拍子に見に来ないとも限らなかった。当座の行動だけでも、早いうちに決める必要があるだろう。
――とりあえず、先生をこのままここに置いておくのは危険だな。
今の所先生は、意識を奪われるだけで済んでいる。ミルキュリア達に先生を殺す意図は、なかったと見ていい。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す