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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 23

つまり、ミルキュリアは哀徒以外の人間と接触していた。それは十中八九宿直の先生、もしくは用務員のおじさんだろうと哀徒は思う。二人のうち、少なくともどちらかがミルキュリアと出くわしたに違いない。
――もしそうだったら、二人とも無事でいるという保証はない……
哀徒は脱出する前に二人の安否を確認しようと考えた。もし無事でいたならすぐに学校から逃げるよう勧めないといけないし、負傷でもしていたら手当てをする必要がある。
どこかに連れ去られている、さらに最悪の場合殺害されているという事もあり得るが、哀徒は今はその可能性は考えない事にした。
――ひとまずここから近い宿直室へ向かうか!
慎重に周囲の様子をうかがいながら、西に向かって哀徒は進んで行った。今の所ミルキュリア達が追いかけてくる気配はないが、敵が三人だけと決まっているわけでもない。立ち木の陰から陰へと素早く動きながら第二校舎棟を離れ、北西に隣接する図書館の裏をすり抜ける。さらに進んで図書館の北にある小講義棟という建物に到着した。そこの一階に宿直室があるのだ。
ガラス張りのドアから内部を覗き込んで様子を探る。電灯は全く点いておらず見えにくいが、特に人影らしいものはないようだった。
――よし、入ろう!
哀徒はドアを開けた。中に入り壁に身を寄せてじっと耳を澄ませるが、これと言った物音は聞こえない。彼は廊下を歩いて宿直室に至り、そのドアをノックしてみた。返事はない。哀徒は意を決してドアを開け放ち、中へと踏み込んだ。
――どうなってる……?
中は真っ暗だった。先刻訪れた時は電灯が点いていたのだが、今は消えている。点けようにも哀徒はスイッチの場所を知らなかった。
仕方がない。哀徒は目をこらして部屋の状況を観察した。すると中年の男性らしい人影が床に仰向けに横たわっているのが分かる。
「先生っ!」
それは宿直の先生その人だった。ついさっきまで哀徒と会話していたのだが、今は意識を失って倒れている。慌てて側に走り寄り肩を揺さぶるが全く反応はない。
「くっ……」
哀徒は先生の首筋を指先でなぞってみた。すると脈があるのが分かる。続けて口元に頬を近づけてみた。呼吸も止まっていないようだ。
とりあえずほっとする哀徒だったが、叩いても揺さぶっても全く意識を取り戻す気配はない。人を蘇生させるツボを何箇所か刺激してみたが、これまた似たような結果に終わった。
――やはり俺と同じようにされたんだろうか?
この先生もまた、ミルキュリアに意識を奪われたのかも知れないと哀徒は思う。例の相手を動けなくする術は術者であるミルキュリアが失神すると解けた。だが気絶させる術の方はそう行かないのだろう。どちらにしろ今の哀徒にはどうする事もできない。完全にノーアイディアである。

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