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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 22

ミルキュリアは頷いた。自分の意見が通って嬉しいのか、彼女は心なしか満足げである。グーランスはミルキュリアに背を向け、下に飛び降りることなく廊下を歩き出す。だが少し歩いた所で後ろを振り返った。
「ミルキュリア。今度あの方を捕まえたらきちんとわたくし達に連絡するんですのよ。もっとも、捕まえるのは貴女でなくこのわたくしだと思いますけれど……」
言い放つと再びミルキュリアに背を向けて歩き出す。自信たっぷりの嫌味な物言いだ。
だが当のミルキュリアは特に感情を害した様子も見せず、黙ってグーランスの背中を見送った。
「…………」
一人残されるミルキュリア。どういう訳か彼女は、自分が経験した哀徒の戦闘能力について最後まで仲間に説明しなかった。おそらくヘティラとグーランスは、哀徒の事を少々活発なだけの普通の少年だと思い込んでいるだろう。当然二人が哀徒を捕まえる可能性は、実情を知っている場合に比べて幾分低くなるに違いない。
やがてグーランスが廊下の角を曲がり、姿が見えなくなる。
それと同時にミルキュリアの口から小さく笑いが漏れた。
「クク……ククク……」
彼女は自分の顔に右手をかざした。呪文を唱えると手のひらから光が発せられる。光が収まった時、彼女の両目の周りにあった例の痣は跡形もなく消え失せていた。
「ククク……悪く思うなよ。お前達が私と同じ気持ちを哀徒に抱かないとも限らないからな。万一そうなってもいいように、私が先に彼を捕まえさせてもらう。お前達に会わせる前に、私の言う事だけを聞くようしっかり躾けておかないとな……んっ?」
歩き出したミルキュリアは何かを踏み付ける。拾ってみるとそれは哀徒の生徒手帳だった。さしもの哀徒も生徒手帳の回収までは手が回らなかったようだ。
「哀徒……」
手帳を開くと、そこには哀徒の顔写真があった。その部分にミルキュリアは愛おしそうに口付ける。
チュ……
「クク……待ってろよ哀徒。今お前のミルキュリアが迎えに行くからな……今度は徹底的に調教して私専用の性奴隷に……クク……あの二人には唾液、いや汗でもやれば十分だろう。体の一部なら何でも取り込めば、とにかく『至神』の力は手に入るんだからな……」



一方その頃、哀徒は学校の敷地内を移動していた。彼がいたのは敷地内で最も南にある第二校舎棟であり、飛び降りたのは建物の南側にある窓である。だからすぐ近くに中と外を区切る壁があり、外に出ようと思えば出られない事はなかった。だがその前に、彼にはどうしても確かめておきたい事がある。最初に会った時のミルキュリアの台詞が引っ掛かっていたのだ。
『まだ人間がいたのか』

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