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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 21




「まあ、過ぎた事を言っても始まりませんわ。これからどうするか決めますわよ」
「そ、そうだな……」
ミルキュリアが仲間の言葉に賛意を示した。彼女の両目周辺は痣でどす黒く変色し、あたかも狸の如き様相を呈している。
「……私の考えでは、三人が手分けしてこの建物を探すのがいいと思う。相手は魔法を使えないただの人間だ。私達の誰か一人が当れば十分捕まえられるだろう」
ミルキュリアは何事もなかったかのように自説を展開した。自分では傷付きやすいと言っていたが、ずいぶんと立ち直りは早いようだ。
だがその意見にヘティラが難癖を付ける。
「面倒臭えな。この『宝石』を使って探せねえのかよ?」
そう言って彼女は自分の手の指輪を示した。だがミルキュリアは即座に首を横に振る。
「駄目だ。取扱説明書に書いてあった通り、それは『至神』が相当近くにいないと反応しなかった」
「チッ、じゃあ『羅針盤』はどうなんだ?」
ヘティラは食い下がる。するとグーランスが横から口を挟んだ。
「それも厳しいですわね。あれは誤差が大き過ぎますもの。わたくし達がこの町を特定するのにどれだけ苦労したか、お忘れではありませんでしょう?」
やはりヘティラの意見を否定する。言われたヘティラは鬱陶しそうに吐き捨てた。
「ケッ、やっぱり虱潰しに探すしかねえのか……」
「仕方ありませんわ。どこかの『お馬鹿』がせっかく捕まえた『至神』を取り逃がしてしまったんですもの」
過ぎた事を言っても始まらないと言っておきながら、グーランスはミルキュリアの失態を蒸し返した。かなり陰険な性格のようだ。当然ミルキュリアの表情はやや険しくなるが、彼女は意にも介さない。
「まあこの学校の生徒を人質にして町中の男を集合させ、一人一人調べるのに比べれば大した労力ではありませんわ。まだ夜明けまでは時間がありますし、結界を張りましたから外には逃げられませんもの」
「……それもそうか。考えてみりゃこれでも手間は省けてるんだよな」
グーランスの説得にヘティラはあっさり同意した。ゆめ単細胞と言うなかれ。ちょっと頭の切り替えが早いだけだ。
「それじゃ、さっさと探して捕まえるとするか」
そう言うとヘティラは窓を勢いよく開け放った。
ガラッ!
仲間が声を掛ける暇もあらばこそ、窓枠を乗り越えひらりと下に飛び降りる。そのまま彼女は哀徒が消えた方向へと走り去った。
「「…………」」
素晴らしきはフットワークの軽さである。残された二人は少しばかりあっけに取られた。しばらくして我に返ったグーランスがミルキュリアに向き直る。
「それではわたくしも参りますわ。『至神』さえ手に入ればこんな小汚い建物に長居は無用。面倒な事になる前に、元の世界に戻りましょう」
「ああ。そうだな……」

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