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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 18

威勢のいい事は言ったものの、哀徒にはミルキュリアに確実に勝つ自信は無かった。何故かは不明だが相手の力は先程より格段に上がっている。
――あの水流を食らったら、胴が真っ二つになるかも知れないな!
だがその程度のことで怯んでいては、金魚すくいの世界ランカーなどとてもではないが務まらない。覚悟を決め、哀徒は足を前に踏み出した。
「行くぞ」
「待て哀徒、実は…」
ミルキュリアは向かって来る哀徒を手で制し、何か言おうとした。だがその瞬間、哀徒の背後で別の誰かの声が上がる。
「ミルキュリア、どうした?」
「え?」
哀徒が背後を振り向くと、かなり離れた所に二つの人影が立っていた。暗くてよく分からないが二人とも女性のようだ。どうやらミルキュリアの仲間らしい。
異変を感じたのか彼女達はこちらの方へと走って来出した。
――しまった。仲間がいたのか!
敵の増援の出現に哀徒は衝撃を受けた。ミルキュリアにも勝てるか分からないのに、いくら何でも三対一では勝ち目が薄い。もとより玉砕覚悟だが犬死には御免蒙る。彼は政治家よりも素早く方針を転換した。落ちていた鞄を拾うとミルキュリアに背を向け、新手の二人目がけて走り出す。
「うおおおっ!」
「!?」
突進された二人がハッとして立ち止まり、身構えた。ミルキュリアが慌てた口調で叫ぶ。
「ヘティラ!グーランス!そいつを捕まえろ!そいつは私達の…」
だが哀徒はもう彼女の言葉に注意を払っていなかった。ミルキュリアと彼女の仲間二人の中間辺りで一旦廊下の教室側に寄る。続いて助走を付け、鞄で頭をガードしながら窓ガラスへとダイブした。
「でやあっ!」
ガシャーン!
外に飛び出した哀徒は、ミルキュリアの「しまった!」という声を聞いたような気がした。窓から地面まではかなりの高さがある。哀徒は空中で猫のように体をよじって体勢を整え、辛うじて両足で着地した。
「くうっ!」
ドスッ!
いきなり空中に飛び出した事に加え、暗くて地面がよく見えない事を考えれば奇跡的な成功だった。だがもちろん、それを喜んでいる暇などない。哀徒は直ちにマキシマムスピードでその場を離れた。
――それっ!
相変わらず周囲はよく見えないが、何かにぶつかったりすることはない。伊達や酔狂で毎日、年齢を省みず級友と外で鬼ごっこをしている訳ではないのだ。
――しかし窓が強化ガラスだったら危なかった。うちの学校の貧乏性も捨てたもんじゃないな!
よく考えれば無理してミルキュリアと戦わなくても、始めからこうやって一度離脱する手があったような気がしなくもない。しかしまあ、それは言わない約束というものだろう。



一方、こちらは哀徒が飛び出していった廊下である。
「糞っ!見失った!」

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