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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 17

さすがの哀徒も動揺を隠せない。完全無欠にタンクも何も装備していないミルキュリアが水流を放ったのだ。命中した床のタイルは砕け散り、その下のコンクリートにまで大穴が穿たれる。さっきと水圧が段違いなのは一目瞭然だった。そのことにも哀徒は驚く。
「おおお…」
「ふん」
ミルキュリアが指を動かすと水流の向きも変わった。それにつれて破壊が床の上を移動していく。廊下を横断するクレヴァスが完成したところでミルキュリアは水の放出を止めた。
「どうだ哀徒。さっきより少しばかり勢いがいいだろう?」
「ああ…」
哀徒は自分の見ているものが信じられなかった。どう考えても仕掛けやトリックではあり得ない。相手を警戒することも忘れてただその場に立ち尽くした。
――夢でも見てるのか、俺は…?
一方ミルキュリアは、何故か下腹部をさすりつつまたもや妙な事を言い出した。
「ククク…凄いぞ…体中に魔力がみなぎって来る…これが『至神』の力…今手に入れた…ククク…」
――『至神』…?確かにうちの実家は神社だけど…
哀徒が困惑しているうちに、床から湧き上がっていた水煙だか湯気だかが収まった。少しぼやけていた視界が再びクリアーになり、それと同時に混乱していた哀徒の頭にも冷静さが戻って来る。
――落ち着け。俺は…俺は今…
哀徒が必死に思考をまとめていると、ミルキュリアが得意そうに話しかけて来た。
「これで分かっただろう、哀徒。私はお前達が言う所の魔法使いという訳だ」
「……そうかもね」
一呼吸置いてから、哀徒は気のない返事をした。もっと大げさなリアクションを期待していたのか、ミルキュリアは不服そうに口を尖らせる。
「そんなに動揺しないんだな」
「うん。それは今、そんなに大事な事じゃないから」
「大事な事じゃない?」
ミルキュリアの声が低くなった。どうやら自尊心が少し傷付いたようだ。だが実際今の哀徒にとって、魔法が存在するという事はそれほど重要な事ではなかった。
「ふうん…なら一体、何が大事だと言うんだ?」
ミルキュリアが哀徒に質問をぶつける。どこか挑発するような物言いだ。哀徒は静かな口調でそれに答えた。
「簡単だよ。大事なのは俺がこの学校の生徒で、あなたがここで何か悪い事しようとしてる人だって事。知らない所だったら別にいいけど、自分の学校で悪さされちゃ敵わない。その悪さが魔法を使ってのものかどうかなんてこの際問題じゃないんだ。明日もこの学校に来るために、俺はあなたを何とかする」
「…………」

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