PiPi's World 投稿小説

淫らな怪奇現象
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 2
 4
の最後へ

淫らな怪奇現象 4

清兵衛が近づく間も怪物はじっと動かずに待っていた。まるで何かを待っているかのようだ。
(何を考えているんだ?)
思考を巡らせながら、一歩ずつ近づいていく。やがて怪物の目の前まで来ると、その異様さに圧倒されそうになる。胴体部の中央にある巨大な口のようなもの、そこから伸びる無数の触手。そのどれもが粘液を分泌しておりヌラヌラと光っている。
だが不思議と嫌悪感はなく、むしろ美しいとさえ思えた。まるで一つの芸術品のようだ。
清兵衛は思わず見惚れてしまった。
「美しいな……」
思わず口から漏れてしまった言葉にハッとして我に返る。
(何を考えてるんだ俺は…!)
清兵衛は自分の頭を左右に振り、邪念を払う。改めて怪物を観察すると、やはり敵意がないように思える。その証拠に清兵衛が近づいても微動だにせず、ただじっとしているだけだ。まるで何かを期待しているかのように……。
(もしかして俺を待っていたのか?)
そんな考えが頭をよぎる。だが、もしそうだとしたら一体何を待っているのだろう? 
その答えに辿り着いた時、清兵衛は思わず身震いをした。
この怪物を呼び寄せてしまったのが他でもない自分だということに。
清兵衛の願いはこの辺りの海岸を荒らす海賊を懲らしめ、平和を取り戻したいというささやかなものだった。
しかしそれは思いも寄らぬ形で実現してしまったのである。


,
の最初へ
 2
 4
の最後へ

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す