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変態エルフ姉妹の花嫁王子
官能リレー小説 - ファンタジー系

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変態エルフ姉妹の花嫁王子 8

宿屋の主は直ぐに馬車を出るのは当然のマナーである……だが皮膚の至る所に変色や傷があるのはそれだけ過酷な状況に置かれていた事を示す。
「ユイ、馬は?」
「馬具を外して野に放ってます」
この様に帝国騎士団の痕跡を消しておかないと後々外交面で不利になるのだ。馬具は持ち帰ったのもその為だ……最も規模が不明なだけに既にフェルスに捕まってしまった騎士や従者も居る可能性もある。オーウェンとしてはそこが問題になるのだ。



「オーウェン様のお手を煩わせて申し訳……」
馬車の中で気が付いた女性騎士は取り乱したがオーウェンが姿を見せた途端に落ち着いて直ぐに侘びの言葉を述べるもオーウェンは首を横に振り言う。
「確かコルジャッウス家の令嬢……」
「ミルス・コルジャッウスです」
一昨年になるが宮殿の行事に参加した際にお目通しに来た方だ。オーウェンは警備役であったので覚えていた。この家柄は建国以前から皇帝一家に仕える古参古豪である家柄であるが……この様な無謀な事をするのも理由がある、ミルスの母親はルーサー王国からの嫁入りしたのだ。
「ルーサーは」
「消えたよ、今行けば人間でなくなる」
国王と王妃は浸食樹の種に犯され樹木にされルーサー王都は巨大な鉢植えと変貌した……王都全域に浸食樹が出来たのは杜海にする為だ。出発して数日後の事であり、今の段階ならその浸食樹から出る花から胞子が出ているだろう……その胞子も人を捕られるモノなのだ。
「……」
「その傷じゃ剣を持つ所か歩く事も出来ない筈だ。暫くは休め……」
帝国でも問題視されるだろう、ミルスは項垂れるしかない。
「それとこれは預かるぞ、命を差し出しても戻らないからな……ルーサーは」
オーウェンは短剣を手にしていう、とりあえずアルニコスやフォングスに宰相をしている兄に任せるしかない。


数日後、ガルアンドル帝国と旧ルーサー王国の国境砦に到着したオーウェン一行を見た騎士の一人が駆け寄る。同世代のキャンドィでありアルニコス騎士団の一員である。
「オーウェン様!よくご無事で」
「最後まで見るには少々キツいからな……アルニコス殿に話したい事がある、何れも厄介な事だ」
書状を手渡された従者伝令が頷くと駆けだす。宿屋一家を初めとする難民保護やらミルスの事で伺いを立てたのだ。
国境砦の執務室を兼ねた個室がアルニコスの部屋である、ここ数ヶ月は急拡大した国境砦城下町の運用にかかりきりである。
「オーウェンか……無事だったか」
「フォングスの助言が無ければ人では無くなっていたさ」
二人は握手するなり座らずに仕事を始める。
「宿屋一家の方は異人街への転居を認めよう……ミルスは直ぐに引き取る」
「たすかります」
「ルーサー王都の監視も始まっているしな、彼女もこの任を志願するだろう……」
アルニコスとしては大人しく嫁入りしてほしいが彼女の頑固さは知っている。
「オーウェン、暫くここで働く気はないか?」
アルニコスの言葉に頷く、一応全員の意見を聞いてから返答する。
一歩間違えば前線にもなるので他の騎士団が増援が来ない、アルニコスでも限度が来る……オーウェンも想定していたがここまで押し寄せるとは……。


「異存はない、皆もアルニコス様の人徳の多さは承知しておる」
イセの言葉に皆も頷く、彼も先程元ルーサー王国騎士や兵士とみられる面々が起こした喧嘩を仲裁……しかもあちこちで起きているのだ。
「ええ、もしかすると仕掛けられているわね……」
ウェルトも懸念している程だ、事情で祖国に住めなくなったが戦火を灯しかねない状況になっているのだ。
「今回の依頼は受けるべきじゃ……大騎士団長には伝えて置くぞ」
ドラグは言う。彼はボビットやらドワーフ、エルフの血を持つ故に人間でありながらも魔力を持つ老魔導士であり騎士団のご意見役だ。先程まで負傷者と病気に溢れた神殿で治癒魔法を無償提供していた。
「オーウェン様が居た方が何かと帝国も対応し易い……それに種を仕込まれた者もいました」
「!」
「何とか滅しましたが……」
この辺りで杜樹が出来れば帝国も黙ってはないだろう。


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