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僕は貴女の剣となりて
官能リレー小説 - ファンタジー系

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僕は貴女の剣となりて 10

 それからどこか遠くを見る目になったのを、タケトは気づいた。
 ヴェンデルも年甲斐も無く少女に手を出すような品性の無い男ではない。
 妻も子もある身で、可愛い孫たちもいる。
 おそらくは若き日の甘い思い出でも振り返っていたのだろう。
 その様子を当の本人である無垢な少女は、二人の雄の話す内容がよく理解できず。
 ただ自分の容姿が、勇者に褒められている事を嬉しく思い。
 柔和な笑みを浮かべていた。
 そして、ヴェンデルは思っていた。これで、アレグリア女王の血筋の安泰へまた一つ近づいたと。そして、一日も長くお支えせねばと。
 
 少しして、ふと健人が何かを思い立ったように言った。
「あっ、少し聞きたいんだけど」
「はい、何でしょう?」
「あの、地図ってある?出来れば世界地図があればいいんだけど…」
「地図ですか。少しお待ちを……ぬんっ!」
 あの後、紅茶を楽しんでいた最中に健人は二人にそう質問する。
 理由としてはこの世界の地形と出来れば今現在の勢力図を見てみたかったからだ。
 彼の質問にいち早く答えたのはヴェンデルだった。彼は何か呪文を唱えると彼の手の中に巻かれた紙が握られていたからだ。
「これを…」
「ありがとう、ヴェンデル…ってこれが世界地図!?」
 彼が出した地図には、国名や、一応の国境線らしきものがあちこちに描かれており、街やその名前、道も描かれていた。
「はい、そうですけど…何か変ですか?」
 リアが健人の疑問を不思議がって、小首を曲げていた。その姿も可愛いと思ったが、まずは疑問を切り出した。
「いやっ、変っていうか…あちこちの湾や湖が、地面をくり抜いたり切り欠いたように不自然に存在しているような…」
 この疑問に、リアは沈痛な表情になって答えた。そして、健人はその時のリアがヴェンデルにも申し訳なさげな視線を一度向けたことに気づいた。

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