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僕は貴女の剣となりて
官能リレー小説 - ファンタジー系

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僕は貴女の剣となりて 11

「トラゾロン陛下による統一戦争や、帝国崩壊後の戦乱で使われた巨大魔法や特殊兵器で、クレーターなどになってしまった場所もあちこちにあるのです。数多くの人々が、大地もろとも蒸発し、遺跡になる事さえできずに滅した痕なのです。そのまま荒れ地となっている所もありますが、中には水が入り、タケト様の示されたような湾や湖になってしまった所も……」
「何という事……」
 あまりな内容に、健人は絶句した。
 水爆弾頭のバンカーバスターに匹敵する攻撃が行なわれて、広島長崎どころではない惨状となったのだ。
 健人もかつて見た広島や長崎の被爆の記録を思い浮かべ、鉛を飲み込んだような重い気持ちになっていた。
 リアも、かつて視察した人工クレーターの凄まじさを思い出し、沈痛な面持ちでいる。
「そして、ここが我らのいるラティスヘイム王国となります」
 ヴェンデルが指さしたのは、大陸の東端一帯。大陸の面積からすれば、5%前後。
 地図には、大小さまざまな国がひしめいていた。中には、魔物の国として記載されている場所もあった。

(これは……恐ろしい戦いになるぞ。どれほどの修羅の道になるのか…いや、それ以前にオーバーロードの力って……)
 ある恐るべき想像が頭をよぎり、それ以上を思い浮かべる事はタケトにも躊躇われた。
「タケト様…」
 あまりに重い表情になって考え込む健人を、心配したリアが声をかけた。
「大丈夫だよ。何とかなるって」
 心配そうな表情をするリアに彼は柔らかい笑みを浮かべる。
 しかし、その内心は大きく揺れていた。
(なんで高校生の何の力も無い僕が勇者に?)
 普通の日常から一変した環境に戸惑いを隠せない。だがそれは正しい感情だろう。
 何せ今まで一般人だったのが突然勇者になってしまったのだから、いくら高校生かつ武道家の健人と言えど中身は子供なのだ。
「勇者殿、姫。今日はもうコレぐらいにしましょう、日も大分沈んでおります。勇者殿にいたってはまだ右も左も分かりますまい。今日は個室でゆっくりと考えてくだされ」
 彼の内心を悟ったのか、控えていたヴェンデルが口を開く。

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