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僕は貴女の剣となりて
官能リレー小説 - ファンタジー系

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僕は貴女の剣となりて 3


(ヤバイ時間が無い!!…こうなったら何時ものように近道だ!!)
 健人は通学路を右に曲がると、学校への近道である神明神社の鳥居を潜る。
 だが、鳥居を潜った次の瞬間、健人の目の前で、強烈な光が発光した。
「わ!な…何だ!?」
 健人は余りに強い光に思わず目を瞑った。
 

「あれ…?」
 どうやら意識を失っていたらしい。次に目を開けた時に彼が見たのは、つい先ほどまで走っていた筈の、通い慣れた学校への近道の神社ではなく。
 これまで見なことも無い光景だった。
 神社も、鎮守の森も周りの住宅街も無い。不思議な光に照らされた、洞窟だった。
「ここはいったい…」
 呆然と立ち尽くす健人に金色の髪を持つ美しい少女が、深々と頭を下げながら、歌のように美しくも、どこか悲し気な声で言葉を紡いだ。
「ようこそおいで下さいました我が勇者よ…ようこそ私達の世界マーシュリーアへ…」
 これが後に混沌たるアクシズ大陸に平和をもたらし、聖女王と呼ばれる女王アレグリアと、その傍らで聖槍を振るい、女王に手向かう者を討ち、迫りくる敵から女王を護る守護者として生涯彼女を支えた勇者、聖騎士タケトとの出会いだった。
「魔法?勇者?マーシュリーア?何を言ってるんだあんた達は!?てか、此処何処だよ!?」
「勇者殿、此処は貴方様の世界とは異なる世界、マーシュリーア。この世界にあるアクシズ大陸の東方に位置する、ラティスヘイム王国の地下神殿です」
 混乱している健人に目の前の少女は優しい口調で教える。
「アクシズ大陸?ラティスヘイム王国?そんな名前の大陸と国は知らないよ!」
「えぇ、そうでしょうね。勇者殿にとって此処は異世界なのですから…」
 困惑する健人に、アレグリアはどこか済まなさげに俯いて答えた。
 驚いて、混乱したように周りを見回す。近くには、倒れ伏した男が一人いた。
「あ…あの人は…大丈夫ですか??」
 事情を知らない健人は急いで駆け寄り、抱き起こす。それは命と引き換えに国を救おうとした、アレグリアの父王であった。

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