PiPi's World 投稿小説

空色の小屋
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 0
 2
の最後へ

空色の小屋 2

三人の中で女がまず動いた。剣士は曲刀を抜き放ち、舞うように草木を切り裂いていく。
もうひとりの魔女も苔を凍らせては踏みしだいて砕けさせたり、木の枝には斧の刃のような氷塊を立て続けに放って断ち切る。
最後に重戦士の男が年季の入ったクレイモアを両手で振るい、幾重にも絡まる蔓をまとめて叩き斬った。
そうして三人は小屋から出て、異常がない事を確かめて安堵する。
「なんだったんだ今のは……」
重戦士が呟くと、魔女が応えた。
「わからないけど、あの小屋の中には何かがあったはずよ。確認する必要があるわ」
「だけどあんな中にもう一度入るのは嫌よ」
剣士の女は肩をすくめて言った。

「俺も今入りたくはないな。迂闊にまた入ったら何があるかわからん。調べるなら準備し直してまた来た方がいい」
重戦士も辟易した様子で言った。
「そうね。呪いがあったらまずいから、女性の神官を連れてきましょう」
魔女も仲間達の様子を見て、今調べるのは無謀と感じたらしかった。
そのまま彼らは山を降り、街へ戻った。



街には様々な神殿や教会や異端派のアジトまである。それぞれ教義やタブーが違う。
三人はある教団の施設の前で立ち止まる。聖牛を崇める教団である。
「牛ってのは喰ったり畑で鋤を引かせるだけじゃないのか?」
「その辺の牛じゃないから、聖牛なんだろ。信仰が分かってないな」
「確か、30に及ぶ特徴を満たした牛だけがアピスだそうだ」
三人の中で最も聡明な魔女は理解していた。しかし、聖牛はめったにいないから、この寺院も石や銅像で、門の両脇には一対になった牛頭の聖闘士の木像が安置されている。
三人を注視する者がいた。女性の神官で、角をかたどった頭飾りに薄着の服でそう分かる。
「供物のお塩はお持ちですか?」
「俺達は拝みに来たんじゃない。それより、奇跡は行えるか?」
「無理ならキツネの神社に行こうかしら」
「肉は豚と鳥と鹿にしている。手を貸して欲しい。嫌なら牛を食べるわ」
彼等は頭を下げて頼むどころか、足元を見るようなやり方で彼女を引き下がれないようにすると、半ば意地になって応じる。
「わかりました。ご案内します」
宗教を冒涜する発言に怒る様子もなくあっさり引き受ける様子に三人は不穏なものを感じたが、彼女を先導させた。
女は三人を宿の一室に招き入れる。そこは小さな部屋で、テーブルがひとつあるだけだった。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す