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空色の小屋
官能リレー小説 - ファンタジー系

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空色の小屋 1

カラサントス山の頂上にその小屋はあった。一見するとただの廃屋である。しかし内部に足を踏み入れると様相は一変する。
内部には青々とした草木と苔が生い茂っているのだ。
しかも天井は空色だ。
床や壁や天井を、青一色で塗りつぶしたかのような光景が眼前に広がっている。それは外から見たらただの廃屋であるのに、内部に入った瞬間にまるで異界に入り込んでしまったかのような錯覚を覚える。
この小屋は、カラサントス山に住む男が、麓の村から採取してきた薬草を保管するためのものである。簡単に言えばビニールハウスのようなものである。しかし、それだけでは説明できないものがこの小屋にはある。わけもわからずに小屋に迷い込んだ男が、恐る恐る足を進めると、やがて彼は異様な感覚にとらわれてしまうのだ。
繰り返すが、男が迷い込むと異様な感覚にとらわれるのだ。
つまり、入ったのが男でなければ、中は何のことは無いビニールハウスのようなものに過ぎない。
女性を同伴していれば、異様な事は起きない。
この時迷い込んだ男にとって幸いだったのは、冒険者仲間の女二人を伴って三人で入った事であった。
重戦士の男以外に、魔術師と戦士という組み合わせの男女三人組である。
彼女達が小屋に入ると、中には草木と苔が生い茂っていた。
「なによこの小屋、気味悪いわね。室内なのにまるで外に居るみたい、天井だって本物の空みたいよ」
「なんか甘い匂いしない? ねえ、何だと思う?」
「薬草か何かじゃないの?」
三人は好き勝手に言いながら小屋の中を見渡す。そして気付く。自分たちが小屋の中に入った途端に、草木と苔が一気に成長して、青一色の景色になってしまった事に。
「きゃああ!」
「なにこれ! どういうこと!?」

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