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地下水路
官能リレー小説 - ファンタジー系

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地下水路 4

主人によって呼び出された鼠達は万屋から彼等を引き離すように動いた。それにより単独で偵察に行かされていた男と戎凱らは分断されることになった。
通路を塞がれて合流も出来なくなった男は、とりあえず近くにあった客室のひとつに逃げ込んだ。
入り口の鍵を剣で断ち切り飛び込むと、目の前には棚や布団が並んだ六畳ほどの空間が広がっております。
下っ端の男――仮に小河とでも呼びます――が息を整えていますと棚の裏が赤く光り、なにやら玉のような光となって飛んでまいりました。
それらは小河の前でキュウソに変わり、威嚇するようにキィッキイーと鳴き声をあげます。
命からがら逃げた先で防犯機構らしき同じ怪物に囲まれてしまい、男は自らの不運に悪態を吐き捨てました。

「ちくしょうめっ! 泥に食われたと思えば、次は鼠の餌だってのか?! とんだ厄日じゃねえかよぉっ!!」

嫌だ嫌だと呟きながら錆びた剣を構えると、八つ当たりするかの如く目の前の化け物に躍り掛かります。
正面から斬りかかれば石の鱗に弾かれかねない為、手前の1匹を蹴り上げて土手っ腹を貫きました。
そのまま死体を使い群がるキュウソたちを跳ね飛ばすと、動かなくなったのを蹴って外し次の相手に突撃いたします。
こうして何匹かを壁に叩きつけていると、不意に棚が崩れました。キュウソが当たって壊れたのです。
壊れた箇所からは隠し部屋のようなものが覗いています。
その部屋は明らかに卑猥な雰囲気がありました。
桃色の光が漏れ、柔らかな布団がひいてあります。
個人向けの部屋が小さめに出来た為でしょうか、元々あった空間を塞ぎ数部屋分の敷地を合わせた細長い造りでありました。
それなりに修羅場を潜った勘がざわめきましたが、どうせ戻っても生き残れはしない。と小河は剣を構えなおして奥へと踏み出して行きました。
キュウソはと言えば、倒れた棚の下敷きになったのか触媒が崩れたのか、動く気配はありませんでした。

色硝子に覆われた燭台の灯火が揺らめき、香炉からは甘い香りが立ち昇っております。
妙に下っ腹が疼く香りだと小河が考えながら奥を覗き込めば、毛羽とりした縄やら張り型やらが並んでおりました。
女が買えるのかは分かりませんが、どうやら連れ込み宿の一種のようです。

「ちっ、ただの隠し部屋かよ。食い物か貴重品でも置いとけってんだ!」

小河は部屋の中のものを漁り始めます。
立派な張り型がずらりと並び、雄の生臭い臭いを放っています。それを桃色の明かりがギラギラと照らしています。
全裸のままに下見をさせられた彼はなんだか卑猥な気分になってきていました。

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