PiPi's World 投稿小説

狼は呼ばれた
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

狼は呼ばれた 1

森の奥にある屋敷にワーウルフの男ばかりが集められていた。
彼らはなぜ集められたのかすらよくわかっていない。高額の報酬につられてやってきたのだ。
奇妙な空気の中、その狼の一人が口を開く。
「どうしてここに呼び集められたのだろう…?」
この灰色のワーウルフだけは金を受け取ってないらしい、周囲の男たちは苦笑いをした。
彼らとしては教えてもいいのだが、報酬以外の目的が分からない以上余計なことは言わない方向で団結していた。
一人不思議そうな顔をしている少年を生温かい視線が見守っていると、大広間の扉が開き深紅のドレスを纏った数人の女性が入ってきた。

「あらあら、お待たせしてしまったみたいで……すいませんでしたわ」
一番前に居た年かさの女性が謝罪すると、後ろに続いていた女性たちも一斉に頭を下げる。
匂いたつ色気を振りまく女性たちに心を奪われていたワーウルフたちは、数瞬遅れて「頭を上げてください」と返した。
ワーウルフ達はどれもがほぼ上半身裸だった。金を貰っていない一回り小さい灰色の少年もだ。
なので目の前の着飾った女性達とは不釣り合いなように感じられる。
ワーウルフの男達はなんとなく居心地が悪くなってきて、体をもぞもぞとさせ始めた。
その様子を見た女性たちは慈愛に満ちた笑みを浮かべ、涼やかな声でコロコロと笑いを漏らしてしまった。
「ふふふふっ! ……っと、失礼しましたわ。皆様が大変素敵で逞しい身体を持っていらっしゃるのに、こちらが見栄えだけは良く整えているのを……ふふっ、大げさに持ち上げてらっしゃるんですもの」
先頭の美女が謝罪と説明をすると、後ろで笑いを零していた女性らもそれぞれ謝罪の意を示した。

改めて大広間に並べられた敷き布の上にワーウルフたちが案内されると、それぞれの周りに年恰好の近い女性らが侍り世話を焼き始めた。
涎が溢れるような肉の丸焼きに、山葡萄を使った飲み物の数々。
男らは勧められるままにそれらを楽しみ、最初の不安などいずれかへと吹き飛んでしまった。
女性らの纏め役らしき美女の話を片手間に聞くと……
――彼女らは『紅衣の者』と呼ばれる一族で、ワーウルフの始まりに関わっている。
――スノーホワイトと小人族、シンデレラと魔女族のように、童話に残された異種族と人間の関わりは深い。
――彼女らはワーウルフの血筋を守ってきたが、最近は薄れてしまい外の男たちの精を恵んで欲しい。
「では、これをご覧なさいませ」
年かさの女が、頭の上でまとめていた髪をほどく。するとワーウルフ達はどよめいた。
彼女の頭にワーウルフ達と同じ狼の耳が現れたからだ。
その背後の女達も、艶やかな髪をほどいていた。同じく狼の耳が載っている。

「あなた方と私どもは同族。信じていただけませんか?」
「おお……信じるとも」
ワーウルフ達の多くが、同族の女たちの姿に喜ぶ。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す