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連れてこられた少年は…
官能リレー小説 - ファンタジー系

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連れてこられた少年は… 5

カメラは屈強そうな獅子の姿を追う。
それは先程の赤いクリスタルの獅子だった。ただしはじめて見た時とは違い、露出の多い剣闘士風の服を着ているが…。
隣には獅子に担がれていた少年が居た。
「もっと追えるの?」
慶一郎は興味が湧いてきていた。彼はルビーライオンに似ているからだ。
その子供のように輝く目に、アンジュは苦笑を浮かべながらボタンを操作する。
「んぅ〜っ、バレたら起こられそうだけど……仕方ないなぁ」
彼女の指が動くと、街角の防犯カメラの映像に切り替わっていった。

ルビーライオン似の男の隣を歩く少年は、鈍い光を宿した目で人形のように従順に着いていく。
服として与えられたらしきチュニックの裾からは、小ぶりな雄槍が硬くそそり起っていた。
そんな彼の一歩先を歩く男は、威風堂々とした姿で目的地に向けて歩みを進める。
店先の店主や番兵が彼に気付くと、腰を曲げて敬意を示している。
「旦那は『紅玉の獅子』部族のお偉いさんだからね。新たな仲間を迎えに行く役目も、議会で部族のために戦うのも、長として選ばれたからこそなのさ!」
男が片手をあげて市民に応えてるなか、数人のネットリとした視線が後ろの少年に集まっていた。
慶一郎はその光景を見てまたしても勃起させていた。自分が好きなゲームのキャラに近づけた少年と自らを同一視しているのだ。
アンジュはそれに気づいたが、からかったりはしないでおいた。
「彼の気分を壊すのも悪いわね…」
その少年が注がれた魔力によって自意識が曖昧であり、彼らにとって理想的な繁殖相手として育てられるのだとしても。
少年がキラキラとした目で見ている男が、自らの一族以外が相手だと弱みを見せない堅物で、失敗作である慶一郎のことを書類上の情報しか把握して無いとしてもだ。

そうして少年が楽しそうに画面の向こうの獅子男を見ていると、飽きてきたのかジェーンが腰に抱きついてグリグリと頭を押し付けだす。
「むぅぅ〜っ……ケイはもっと私たちに興味を持ってくれても、罰が当たらないんじゃないかなぁ?」
せっかく家族が増えると思っていたのに、そんな相手が自分を見てくれないことに嫌な気持ちになったのだろうか。
少女は灰色の髪をクシャクシャにしながら、慶一郎に甘えていた。
少年としてはこの理解したくない現実から逃避し、ただただ憧れのヒーローに夢見ていたかっただろう。
だが彼は臆病で小心者であったが、縋りつく子供を跳ね除けられる残酷さは無かった。
怯えたように震える手で少女の頭に触れると、おっかなびっくりで撫でまわし始めたのである。
少年が画面から目を離したとき、画面の向こうの獅子は新たな動きを見せた。
足元に魔方陣のようなものを書き出すと、彼は赤い立方体の中に包まれてしまう。水晶を四角く加工したような塊だった。
獅子の近くに居た少年もその四角い部屋の中に閉じ込められていた。

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