PiPi's World 投稿小説

異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 25
 27
の最後へ

異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅 27

妙に人気の少ない広場に入ると、ギガンタウロスの群れは自由に動けるようになった。何人かは座り込んで雑談をしている。
「やれやれ、やっとのびのびできるわい」
「小さな人間の多いところは疲れるよ」
そんな言葉をグランは聞きとることができた。

彼等に巻き込まれる形で広場に来てしまったグランは、彼等を誘導してきたギルドの職員にこれからどうするか指示を聞こうと思った。
 
「おや貴方は、確かあの娼館の。どうかしましたか? ……なるほど、彼らに連れられて。こちらとしては仕事に戻ってもらって構わないのですが……戻れるので?」

どこかで見た気もする職員に経緯を伝えると、なんとも反応に困る返答をもらったグラン。
娼館の方に連絡はいってるはずなので、すぐに戻れば仕事への影響は軽微だろう。
だが目の前の彼の疑問通り、ここまで巻き込んだ彼らが大人しく帰してくれるのだろうか。

「我としても店に迷惑をかけたくはないのだが、あまり良い予感がせんのだ……」
「えぇ、そうでしょうね。話を聞いただけですが、貴方は色々と注目が集まっているでしょうしねぇ」

彼も言い辛そうにする通り、グランは見た目も経歴も目立つ。
ここ数日はティナのおかげもあって比較的平和だったが、本来は騒動に巻き込まれる星の基に生まれた節があるのだ。
果たしてギガンタウロスの老人たちは、このあと彼をどうするのだろうか。
ギガンタウロスの男の1人がグランに近寄り、体に触れた。彼は他の者とは違い、体のあちこちに宝石のようなものを貼り付けている。
「やはりな、この男はあいつによく似ている…」
グランはぎょっとした。父親の事を探るつもりだと感じたからだ。
素早く後ろに跳び退ると、着地のエネルギーを溜めすぐさま宙空へと跳ねた。
軽い地震のような振動が辺りに広がり、浮き上がった土煙が司会を覆い隠してしまう。
普通の建物の1階部分を越えるほどの巨体が、人々の頭上を越えて行った。
ふと陰がさした事に気付いた若者が空を見上げると、巌のような筋肉の塊が目の前を通り過ぎていく。
姿勢制御や虚空瞬動で空いてるスペースに降り立ち、ざわつく人ごみの間へと身を滑らせてグランは娼館に向かって駆けていった。

「いやはや……これは次に見かけた時に、注意が必要かもしれませんね」

ギルドの職員が困ったような笑みを浮かべ、後頭部を掻きつつボソリと呟く。
多少過剰な反応にも思えるが、冒険者の中には悲惨な過去を持つ者も少なくないため、彼もその口なのだろうと納得した。
ギガンタウロスの男が紙を取り出す。それにはグランによく似た若者が笑顔で立っている様子が描かれていた。
「やっぱりそっくりだ。なんで逃げたのだろうか」
彼は娼館に向かおうとして止めた。あの様子では来ただけで追い返されるに決まっている。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す