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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅 26

そこで目に付いたのは、人ごみから体半分上に飛び出た団体だった。
上に高ければ前後左右にも幅があり、周囲の人々をどうすればいいか困っているようだった。

「おうおぅ兄者よ、次は「お〜けすとら」とやらを見てみんか?」
「ほうほぅ、それは面白そうじゃな! だがワシらが入れるのか?」
「何でも動き回っておるそうじゃ、さすがにワシらでは潰してしまうじゃろうのぉ!」

下半身は牛や馬のようであり、その顔も同じように異形の気を纏っていた。
ギガンタウロス――もっとも濃い血を宿すといわれる、始祖の子たる古代種である。
巨人の血が混じっているとか、神代の姿を持つとか噂に絶えないが、何よりもその大きさが特徴であった。
周囲の建物とそれほど変わらぬ背丈に、四脚を持つ長大な胴体。本来街中にいていい存在では無い。

「爺様方。観光中のところ申し訳ないが、見ての通り入り口も小さい。相談してくる故、どうか道を空けていただきたい」

グランの登場にギガンタウロスの群れがざわめく。グランを見ながらひそひそと話し始める者も居る。
グランが怪しんでいると、ギガンタウロスの何人かが彼を取り囲むように回り込んできた。
囲む雄の背中には荷物らしき木箱が乗せられていた。
 
「おう、すまんな坊主。……ミノんとこの子か?」
「よう見ろい、あの脚は2本だぎゃケンちゃんとこのだ。さっさと広間さ行くべよぉ!」
「「おぅ!/だのぉ……/行くべ行くべぇ」」

目の前の同種っぽい青年に注目が集まってるなか、事情を察した黒服が上役に対応を聞きに行った。
始めは騒然としていた人々も流石は商人や冒険者というべきか、すぐに落ち着き興味深そうに古代種たちへと視線を向ける。
ギルドの職員らしき腕章を着けた者らは、通行の流れを整え誘導し始めた。

「えぇ〜ただいま、大柄な種族の方が観光中です。慌てずに誘導に従って移動してください! 動かない方は指定の場所まで下がってくださるよう、お願い申し上げます!」

巨大な彼等はニコライの居る部屋からも見えていた。
彼等の盛り上がった筋肉に、アルヴァの裸体を想像してしまう。
「あのミノタウロスの子にはもう少し段階を踏んでいくべきだったな」
ニコライはまだ諦めていないらしい。



罪状が知れ渡っているためか、同じ部屋の罪人たちからも遠巻きに接されていた。
その窃視癖からも察せられるとおり、彼にとって世界と自分は壁一枚で分かたれていて、いつでも美味しいところだけ掠め取るものだったのである。
周囲からどう思われようと、責めたてられようとニコライは孤独な王であり続けた。

コンサートは大いに盛り上がって幕間に入った。
外での騒ぎとは隔離された舞台の隅で、ティナはトランペットから口を離して一息つく。
途中休憩前の曲とはいえ、楽団の1人として参加できたのは彼女の真面目さゆえだった。
愛しい精強な顔立ちの旦那様と出会い、情を交わすようになってからは演奏に艶が出たと、先生からもお墨付きを貰えたのだ。
今夜も悪夢に連れて行かれないように、自分の全てを使っても彼を守ろうと、少女は密かに決意を固めている。

大柄な爺様がたに囲まれたグランはタイミングを逃し、そのまま広場へと移動してしまった。

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