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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅 20

硬い半球と化した中の者にはもはや屈辱も戦意も感じられない。先程壁に手をついていたミノタウロスは背中を反らせて背後から貫いてくるケンタウロスに体を密着させている。
ケンタウロスの両手がミノタウロスの剛直に触れた時、青い半球に淫らな模様が浮かび上がる。
ケンタウロスがミノタウロスのを扱きだすと半球に現れた紋様は光を放ち始めた。

ケルプはそれに気づかずに、ミノタウロスとケンタウロスが絡み合う壁画の観察を続けていた。
「どれもこれも卑猥なものばかりですねえ…」
そんな事を言いながらグランの顔を思い浮かべる。彼は今どうしているだろうか、女と交尾しているのだろうか。

それにしてもグランはなぜかガラハー遺跡から目を反らしていたようだった。外で会話した少しの間の事だったが、迷宮に関り合いになりたくないという雰囲気が全面に出ていた。
娼館で働いているため、初めは気に入った女性との蜜月を優先したいのかと考えたようだ。
ケルプ自身噂で聞いただけであるが、娼婦に入れ込み借金に縛られ働く者や、番いとなることを選び半ば引退する者もいるらしい。
だがグランが雇われたのは最近であり、件の女性――ティナとの逢瀬も出会ったばかりで盛り上がってるそうだが、ガラハー迷宮を忌避するのは別件のようだと彼は感じた。
ケルプが迷宮に入る前に、彼に出会った時。
約束通り杯を酌み交わすのを楽しみにしている様子に見えたが、声を掛ける前と別れた後。
グランの背中に宿っていたのは、恐怖と憎悪の入り混じった真っ黒な泥のような感情だった。
会話の端々から察するに、傭兵である彼の牛面馬脚の御仁はガラハーに来たことは無さそうである。
その一方で、この場所から感じるナニカに対して漆黒の感情を抱いていたのも確かだろう。
ティナを腕の中に収めその大いなる母性に包まれ溺れることを望んでいた姿は、忘れたい何かに背を向けるグランの意思が読み取れた。

グランの忘れたいこととは二人の父親の事である。
それについてグランはケルプには話していない。当然である。
ケルプもグランの隠している事を聞くつもりはなかった。あえてトラウマをえぐるのは悪趣味だからだ。
しかし、このような儀式が行われているのを見てしまえばグランについて知りたくなってくる。
偶然。たまたま。そんな言葉で誤魔化してしまえば簡単だ。
だがケルプの冒険者としての経験が、揃いすぎたピースから全体像を読み取ってしまう。
娼館で働き始めたばかりらしき傭兵と、需要の薄い迷宮での営業。
牛面馬脚の英傑と、ミノとケンタの異様な宴。
初めての迷宮を恐れるグランと、突然生まれた謎の空間。
ケルプがたまたま呼ばれる要素があったから招かれたが、本来の招待はグランに出されていたのかもしれない。
「まぁ、しかし……全ては我輩が無事に、地上へと戻れてからの話であるな」
背中の向こうで起きた淫猥な変化に気づくことなく、彼は現状について思索を深めていった。

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