異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅 15
そのなかにもやはり冒険者らしき者は居ないようであった。
ケルプだけがガラハー迷宮から直接上がってきたらしい。
「客がケルプだけなのにわざわざガラハー迷宮の前に停まったのか…?」
よっぽどケルプはここに行きたかったのだろうか、別に目的があるような気がしなくもなかった。
仕事が一段落し、グランは外に出た。ガラハー迷宮の入り口があるが、やはりそこを出入りする者の姿はない。
なぜかなんとなく入ってみたい気分になるのだが、まずはケルプとの約束が先だ。
そこにケルプがやってきた。右手に特殊なクロスボウを持っていたが、まだ矢は装填されていない。
「おぉっ、グラン殿! こんな早朝に、このような場所で出会うとは……お仕事は終わられたのかな?」
「あぁ、先ほど任を解かれたところだ。そちらは楽しんだ後だと思うが……」
気さくに話しかけてきたケルプに応えると、グランは彼の行動を尋ねた。
「えぇ、昨夜は実に煌びやかな時間を過ごせましたぞ。ここらでは出会いなど皆無に等しいですからな。あちらは仕事とはいえ、女性の柔肌の温かさ……久方ぶりに溺れてしまいました」
実に楽しそうに語るケルプからは、隠し事の影を感じることは出来なかった。
娼館を呼び寄せたナニカと彼は、直接的な関係は無いのかもしれないとグランはひとまず考えた。
「流石に一晩中楽しむと体力が持ちませんのでな、彼女を満足させたらゆっくり休ませてもらいました。またそちらに伺うためにも、もう一頑張り潜りに行くところです」
「そうか。こちらも慣れない仕事をこなしたばかりなのでな、今日は連れを腕に収め一休みしようと思う。そちらが戻った時にでも、約束道理一杯付き合おう。」
「えぇ、えぇっ……我輩も楽しみにしていますぞ」
そうしてケルプと別れたグランは自室に戻り、先にベッドに居たティナに口付けを落とすと、眠りへと落ちていった。
グランの腕に抱きしめられたティナは頭を優しく撫でると、彼が悪夢に囚われないようにオッパイで包み込んだのだ。
赤子のように彼女の胸に顔を押し付けると、生え揃った臼歯で乳房を噛み赤黒い舌で無意識に舐めしゃぶった。
張りのあるオッパイに吸いつかれながら、ティナは甘い疼きに溶けるように夢の世界に旅立っていった。
グランがティナに包まれている頃、ケルプは迷宮を迷っていた。
迷宮に幻惑されたといってもよかった。知らず知らずのうちに淫らな奥へと誘い込まれていく。
それはグランが見た夢に似ていたのだが、その事を彼が知るはずもない。
奥に進むに比例して、彼の奇妙な馬覆面が淡く光る。