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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅 14

丁寧に腰を曲げて謝罪すると、グランに「扉の側で立ち番を」と目で合図してきた。
それに従い持ち場に着くと、黒服はケルプを奥へと案内する。

「こちらに着いたばかりですのでまだ準備も整っていませんが、どうぞゆっくりとお過ごし下さい。ところで当館のことは、誰か様からの紹介ですかな?」

「うむ。少々成果をあげてギルド長に呼ばれた時にな、ここの支配人に招かれたのだ」

どうやら支配人はさっそく太客を捕まえたらしく、ケルプはうきうきとやって来たらしい。

「いやはや、我輩も随分と浮かれていたらしい。今日来たとは聞いていたのだが、ついつい気が急いてしまった」

「楽しみにしていただき、真にありがとうございます。ショーの時間までは少し掛かりますが、お酒でも楽しみながらお待ちくださいませ」

足取り軽くホールへと案内されるケルプを見送り、グランは矛を構えなおして客が来るのを待っていた。
客が来ないのでぼんやりとケルプについて考えてみる。
「弓を扱うのにあんな覆面をして邪魔にならないのだろうか…?」
弦が馬の覆面に接触しそうなのが気になった。まずあり得ない装備だ。
やけにリアルな覆面が妙に引っ掛かり、グランはそれとなくケルプに関心を向ける。
迷宮で成果をあげたならば、大振りの長弓や和弓では無いだろうと考えた。
おそらくは森の民の使う短弓。あるいは騎乗して使われる、馬上弓ではとグランは推測した。
馬の覆面を考慮すれば、馬上弓の可能性が高いだろう。
この娼館に興味を持った所や振る舞いから、知識に通じているだろうし術の使い手かもしれない。
先ほどの二つ名を加味すれば、魔術を付与した矢を使うかもしれないと、グランは考えを深めていった。

「「いらっしゃいませ、ようこそ『歌姫樂団』へ」」

日が陰るほどの時間が経った頃。横に扉が開放されて、身なりを整えた紳士淑女が集まってきた。
一組ずつ黒服がホールに案内し、ロービーの壁際では鮮やかな衣装に身を包んだ踊り子が歓迎の舞を披露していた。
グランに気づいたものは驚愕に身を固くしたが、彼が堂々した立ち姿を見せつけると「頼もしそうだ」と笑みを浮かべた。
彼等がガラハー迷宮に向かう冒険者だとは思えなかった。ケルプだけはそうなのだろうが…。
恐らくは転送されてきた者達であろう。

そんなとき、行為を終えてきたらしきケルプが戻ってきた。
ケルプはグランに近寄り、誘いをかけてきた。
 
「いやぁ、楽しめましたよ。彼女らの演奏は素晴らしいですなぁ、おもわず女の子と遊ぶのも忘れて聞き入ってしまいましたぞ」

グランが仕事中ゆえに視線で応えるに留めていると、さらに楽しそうに話しかけるケルプ。
馬の覆面の鼻からも蒸気が噴き出す幻覚が見えるほど、身振りが大げさで興奮しているようであった。

「いかがですかな、仕事が一段落した時にでも一緒にお酒などは? ギルドの酒場に連絡をもらえれば、いつでも体を空けられますぞ」

ケルプの戦い方に興味を抱いていたグランは、それに承諾の返事を返した。
それに満足そうに頷くと、上に部屋を借りたらしいケルプは待ち合わせていた美女と腕を組み、廊下の奥へと消えていった。
ホールでの一回目の演奏会が終わったのか、商人や貴族らしき客たちがロビーに集まってきていた。
連れのパートナーと部屋に向かう者らもいれば、黒服に薦められて今夜の相手を見繕っている者も居た。

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