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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異界のミノケンタウロスとヤリマンの旅 13

太陽が天上を過ぎた頃。目を覚ましたグランとティナは、汗と汚れを落とし昼飯を貰いに食堂に向かった。
それに前後してガラハー迷宮にやって来た歌姫樂団は、ちょうど良い広さの空き地に停車し、支配人らが周囲への挨拶回りに出かけていた。

「あぁ、ちょうど良かった。お仕事の話をさせていただいても、よろしいでしょうか? 精強なお顔立ちの護衛様」

二人が食卓で食事をしていると、初日にグランの相手をした美女――フレイヤが、少し意地悪な笑みを浮かべ話しかけてきた。
急に針路が変わった影響と街道の安全性、身の回りの準備や娼館に慣れるためなどが重なり、昨夜は護衛の仕事は休みだった。
なので迷宮に着いたこともあり、今日から護衛の仕事を改めて頼みたいのだそうだ。

「すっかり仲良くなられたようですが、ティナにも雑務がありますからね。しっかりと働き、ゆっくりと休んでくださいね?」

口許に手を当ててコロコロと笑い声をあげながら、グランの担当する範囲の説明を始めた。
どうやら客が来るときはロビーで門番のように立っていて、問題が起これば犯人の拘束。それ以外は黒服の指示に従えばいいらしい。
「黒服?そういえばここで働いている男は居るのか?今まで女性しか見ていないが…」
グランは今いるフロアを見回したが、男の気配がなかった。
「門番の男の方は居ますよ、ちょうど貴方の部屋の真下の部屋に」
やはり、防犯上ここの全ての従業員を女性でまとめるわけにはいかなかったようだ。
ふと彼女の顔を見ると、苦笑を浮かべていることに気づくグラン。

「と言いますか……支配人、男性ですよ?」

よくよく考えてみれば、彼は壮年の男性だったと思い出す。

「ウェイターや管理役の黒服さんとか、裏方や力仕事はお願いしないといけませんもの。何より少数ですが、男娼も所属してますのよ」

先日の自分は、つくづく運が無かったのだな。と、グランは己の悪運を振り返っていた。
どうやらまだ寝ぼけていたらしいと、恥ずかしげに笑みを浮かべるグラン。
まだ彼に慣れていない少女たちが、離れたところで強面の笑顔を怖がっていた。

「了解した。我の役目、しかとこなしてみせよう」

「ふふっ、頼りにさせていただきますね?」

食事を済ませると、片付けと掃除に向かうティナと別れ、自室で装備を身に着けていくグラン。
彼の巨体を覆う胸当てと、ケンタウロスの半身を守る脛当てを纏う。
腕利きの職人に作らせた矛を手に持つと、早めにロビーへと向かった。
グランが持ち場に向かっていると、誰かが階段を上がってきた。
フリーの傭兵らしい筋肉質な男なのだが、頭は馬の顔を模したマスクで覆われている。彼と合流して廊下を歩く。
内心は顔を隠しているなんて不気味だなと思いつつも無言で歩き続ける。
 
「失礼。もしや、貴殿もこちらの客ですかな?」

「いや……ここの護衛を頼まれた」

馬面の男は、意外と軽快な声でグランに話しかけてきた。

「それはそれは……ん? よく見れば、牛面馬脚のグラン殿では……」

「その二つ名は聞き覚えが無いが、確かに我が名はグランという……そちらは?」

「いやはや、失礼を重ねましたな。我輩の名はケルプ。仲間内では、魔弓などと呼ばれています」

そう名乗られたグランがよくよく見てみれば、確かに背筋の鍛えられた遠距離職の肉体だった。
身奇麗な上着と合わせられたズボンは似合っていたが、馬の覆面が雰囲気を台無しにしていた。

「案内役は居るか! お客人が来られたぞ」

ロビーに入ったグランが従業員を探すと、好々爺然とした黒服が歩み寄ってきた。

「ようこそいらっしゃいました。案内が遅れたこと、謹んでお詫びいたします」

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