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謎の岩
官能リレー小説 - ファンタジー系

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謎の岩 10

彼女の名前は『アスタルチルチアスタ』というらしい。妙に長くて覚えづらい名前なので、俺は心の中で略して「アスタさん」と呼ぶことにした。
それにしてもどうしてこんな長い名前なのだろうか、不思議である。
しばらく森を歩いていると、アスタさんの歩みが止まった。
目的地に着いたのかと思い、俺も足を止める。
「ここからはあなた一人で行ってちょうだい」
アスタさんが振り返りながら言った。
「どうしてだ?」
「男、それも人間の男でしか入れない岩があるのよ。人間の…ね」
「…」
意味深に呟く彼女に俺は黙ってついていく。
俺がたどり着いたのは、高さ5mはありそうな巨大な一枚岩の前だった。
その表面には細かい模様が刻まれており、さながら古代の遺跡を思わせる神秘的な雰囲気を放っている。
彼女達は別の岩の側で再起をはかる為に移動をしていたはずだが、ここが目的地なのだろうか。これが俺しか入れない岩なのだとしたら彼女達はこれから一体どこに行くというのだろうか。
「この岩は俺しか入れないのだよな?それなら君達はどうするつもりだ?」
「大丈夫よ。私達には別の入り口があるから。ここまでついてきてくれてありがとう」
「そうか…」
俺はこれ以上詮索するのはやめた。
きっと彼女らにも色々と事情があるのだろう。
「気をつけてね」
「ああ…」
俺はアスタさんと別れると、一人、岩の中へと入っていった。
岩の内部は、入り口よりも更に大きく広かった。
まるで洞窟の中に入り込んだかのような錯覚を覚える。
内壁一面に壁画が描かれている。
どれもこれも見たことのないものばかりだが、どこか見慣れた感じもする。
暫く歩き続けていると、壁画の雰囲気が変わり始めた。
最初はカラフルな抽象画のようなものが多かったが、だんだんと写実的な絵になってきたのだ。

漠然としたイメージがしっかりと形作られていくかのような変化だ。
そして遂に最後の一枚になった。
そこには、素っ裸の黒人男達と対峙する勇者の姿があった。
勇者の顔まではわからないが、黒い男達と向かい合っている後ろ姿からは強い決意を感じる。
勇ましくも美しい。まさに英雄の絵だ。
すると突然、俺の頭に強烈な痛みが走った。
頭が割れそうだ。
あまりの激痛にその場に倒れ込んでしまう。
だが、俺の意思に反して身体は勝手に動き出した。
俺は壁画の前に立つと、おもむろに腰に手を当ててポーズをとっていた。

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