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魔法使いカインの奇妙な冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔法使いカインの奇妙な冒険 1

「あー今日も暑そうだなぁ」と魔法使い特有の広がった帽子をかぶった二十代半ぐらいの少しやつれた顔の男は呟いた。
彼が今いるのはオール大陸の中央に広がる巨大な森――通称、妖精の森と呼ばれる場所だった。
太陽の光も遮るほどの巨木達の中、湿気が立ちこもり、中に入ろうとしている男の頬に汗を流せる。
これからこの高温湿度の中を歩いていくのかと萎えるのをこらえて、彼は一歩踏み出し―――
「そこの男止まれ!」
足元に突き刺さった矢に動きを止めた。

「おいおいおいおい」
地面に突き刺さった矢は木製だけどもあふれ出る魔力は常人よりもはるか上。
そうなると相手は決まっている。
「そこの人間!これ以上森に入ると脳天を吹き飛ばすぞ!」
上を見かけると大樹の枝に乗って数人のエルフが弓矢を構えてこちらに狙いを定めていた。
「ちょっと待てよ、俺は別に戦争を仕掛けにきたんじゃないぞ」
一応、声をかけてみるが、エルフの数人―――おそらく男達は無言で殺気を立ち昇らせるだけ。
本来ならばエルフは森の奥の村で過ごし、たとえ食料の狩りだとしてもこんな森の入り口にまでやってくることはない。
こりゃあ、なんかあったな、と思いつつ、逃げるための道具袋を開ける。
紫色の小瓶が出てくる。先ほど拾ったもので中にはやはり紫色の液体が入っている。
目眩ましにでもなるだろうか?
とりあえずはその瓶を彼等めがけて投げつけてみようとして掴む。だが、その瓶は矢を受けて割れてカインを中心に液体を撒き散らす。
その途端、中の液体が何十倍にもなって広がっていく。
ゼリーの様な感触の液体はカインを押し退けるように持ち上げてしまう。
だが、エルフの男達の場合はそうではなかった。彼等を押し退けるどころか狙い済ましたように絡み付いていく。
たちまち彼等は腰から下が埋まってしまった。
「なにがなんだかわからないがチャンスだ、逃げよう…」
走り出す背後から呻き声が響く。
腰まで埋まったエルフが抜け出そうともがいている。どういうわけかその液体は硬化しておりまったく動けないらしい。
そのうち男達は妙な声をあげ始めた。

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