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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 7

真希は仕事を続け、彼は店長の愛人を続けた。
真希が生理の日、人間は血がつまった袋なんじゃないかと思えるほどしんどく、腰痛と頭痛がして、店を休んだ。
一人暮らしで体調が悪いとさみしくなる。

なんか、さみしい。

彼は真希からのメールを見て真希の部屋へ訪れた。
彼は真希に添い寝をして下腹を優しく撫でた。
「なんかちょっとらくになったかも、ありがと」
真希は彼と一緒に暮らしたいと思うようになった。
彼はマンションの部屋を借りている。
しかし、カメラを手に歩きまわっていて帰らない日のほうが多かった。
彼が催眠とSM緊縛を合わせた妙技の使い手で、その性癖があるマニアの間では「伝説の女王様」と呼ばれる人物だと真希は知らなかった。
夜七時すぎ某高級ホテルの一室では、ブティック経営者の四十代前半の熟女が後ろ手で胸前をブラウスを着たまま赤い麻縄で縛られてベットの上で座りこんでいた。アイマスクで視界を閉ざされて。
豊満な乳房のかたちが突き出すように目立つ。
頭をうなだれたまま、体をゆっくりと揺らして、時折、ため息のような長い息と小さなあえぎ声をこぼしていた。
デブではないがふくよかに肉づきの良い体つきの腕に服の布ごしだか縄が食い込んでいる。
スマホのアラーム音が部屋に流れた。
彼は椅子から立ち上がると、縄をほどいてから、目隠しのアイマスクを外した。
「ゆっくりと目を開けて……」
「ありがとうございました」
拘束時間三十分、それから落ち着き身なりを整えるまで一時間。唇に微笑を浮かべた熟女はすっきりとした表情で礼金を彼に渡して部屋を出た。
封筒には十万円。月に三人の客を拘束して、謝礼を受けとる。
彼にとっては風俗店の店長も、ブティック経営の熟女も、同じ客にすぎなかった。
本当は拘束などいらない。
彼の催眠は、一般的なセラピストが用いる催眠とはまったくちがうものだった。
彼に縛りを教えた縄師がいた。
「あなたの力はこの縄で縛るのと同じこと。自分の心がどんな状態なのかはっきりとわからせるためのものよ」
彼は十八歳で、真希が見た写真はその女縄師を彼が拘束した時のものだった。
拘束され三十分ほど夢と現実の境をさまよって、彼の客たちは現実では体験できない快楽を味わう。
あまりに快楽の刺激が強く、催眠から開放された直後は目がうつろになり、全身が敏感になっている。
三十分以上の夢幻の快楽を与えることは危険で、現実と夢の区別がつかなくなる。
彼は一度だけそのタブーを破ったことがある。

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