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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 4

真希がコンビニで買ってきた缶ビールとつまみをテーブルに並べた。
彼は冷蔵庫を開くとペットボトルの清涼飲料と、自分のマグカップ、スヌーピーのイラストつきをテーブルに置いた。
冷蔵庫の中身はほとんど入っていないのが見えた。
「マキさん、ごめん、紙コップもないや」
マグカップに氷を入れて、ペットボトルの清涼飲料を入れた。
「お酒飲まない人なの?」
「うん、そうなんだ。言ってなかったっけ?」
真希は缶ビールを開いて、このまま飲むから大丈夫よと言った。
「乾杯!」
真希は女装していないジーンズに無地のTシャツの彼の姿にどきどきしているのをごまかすために、ビールを流し込んだ。
細い首筋とうなじ。繊細そうな指先。白いTシャツからブラジャーか透けて見える。彼は髪を丁寧にポニーテールをお団子にまとめている。
客が個室で覗き見のように、ちらちらと胸元や指先を見つめてくるのが、どんな気持ちなのか真希は実感した。
押し倒してシャツをめくって、ブラジャーをずらしたら乳房を……。
「いっぱい服があるけど、お気に入りってどれ?」
「マキさんも着てみたいの?」
「そういうことじゃないんだけどね」
彼が何着か指さした、制服や軍服ぽい服を見た。真希は自分が着た姿を思い浮かべて思わず笑った。似合う気がまったくしない。
彼が女装を始めたのは、ゲームやアニメキャラのコスプレがきっかけらしい。
真希はその作品名もキャラクターの名前を聞いてもいまいちよくわからなかった。
わからないまま、よくわからないが聴いていると気持ちいい洋楽やクラシックの曲を聴くように、真希は話を聞いて何度もうなづいた。
「すごくまじめな質問するね」
「うん、なに?」
「ゲイで、男の人が好きなの?」
「ゲイってわけじゃない。かわいい洋服を着るのが好きなだけ。でも、なんていうか」
「はっきり言いなよ」
「すごくおっぱいがおっきいとか、香水たっぷり、お化粧がっしりみたいな感じの女の人は苦手で」
「おっぱいが立派なほうが好きなんじゃないの?」
すると彼は自分の胸のあたりをみた。
「このぐらいが好き」
彼はそう言って、マグカップを両手で持ち清涼飲料をこくこくと小さく喉を鳴らして飲んだ。
真希は自分の胸を服の上から彼にさわらせてみたいと思った。
個室で店の客にわざと手をつかんで引き寄せ、服の上から「揉んでみる?」と言ってスキンシップさせることがある。
「今度はあたしに質問して……」
真希がそう言うと、彼はこう言った。
「僕のこと、好きなの?」
「好き、すごく好き」
テーブルごしに向かいあっていたが、真希は彼のそばに座りなおして、彼の耳元に顔を近づけると、もう一度、好き、と囁いて、彼の耳をそっと舐めた。
「ひゃっ、んっ」
彼の声を聞いて真希は「キスして」と囁いた。
彼は体のむきを変えて向き合うと、そっと腕をのばして抱きよせた。
彼の匂いはなんかいい匂いがする。
シャンプーかボディソープか。客で煙草の匂い、香水の匂い、あとパウダーシートのアルコールの匂いの人もいるが、どれでもなかった。

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