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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 24

「ぼっちゃま」は実験開始五分後にはリラックスして眠っている状態とおぼしき波形が確認された。
小林美花は三分後には確認された。
石田弘美はどちらももっと時間がかかって眠りに落ちると思っていた。
催眠状態ではなく睡眠中の状態だと確認できた。
夢を見ているかどうかは「レム睡眠」か「ノンレム睡眠」かを判別するよりも、後部皮質領域の「ホットゾーン」の活動を観察することで判断する。
従来の夢の研究では、急速眼球運動を伴う「レム睡眠」時に夢を見ていると判断され脳の内部では高周波の電気的活動が生じる。
一方で、低周波の活動が行われる「ノンレム睡眠」のときにも人は夢を見る場合があることも判明していた。
「ぼっちゃま」と小林美花の「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のタイミングはちがっていた。つまり同時に夢をみているかまでは推測はむずかしい。
こうなると目ざめてから二人から聞き出すしかない。
「ホットゾーン」の測定された領域の変化のちがいは、それぞれの夢の中で会話をしていれば、言語や理解力をつかさどる領域が活動していることでわかり、例えば人と会う夢なら、顔を認識する領域が活動していればわかる。
この実験では四十八分で「ぼっちゃま」と小林美花が同時に目をさました。
「彼に私たちの秘密がばれちゃった」
小林美花が照れくさそうに石田弘美に耳打ちした。石田弘美はわざと「ぼっちゃま」とか「僕」と呼ばれたり、本人は言ったりしているが、女性だと偽情報を教えてあった。
小林美花は夢の中で「ぼっちゃま」が令嬢ではなく、女性的な容姿の男性だと知ったことになる。
「二人のなれそめは、学生時代の飲み会で終電がなくなって、ラブホテルに二人で泊まることにしたときに、小林先生が石田先生に告白したんですよね」
彼がそう言い、小林美花が「むかしの夢をみたんだけど、彼が弘美とすりかわってた夢だったの」と。
霜月玲は、石田弘美と小林美花がレズビアンだとわかっても動揺したり驚く様子はなかった。
泊まったラブホテルの名前や部屋番号を彼は言ったことで、石田弘美は「降参します」と両手で顔を隠した。耳まで赤らめて。
「ぼっちゃま、小林先生と、どんなことをなさったのですか?」
「帰ったら教えてあげる」
帰りの車中で霜月玲に他人には聞こえぬ小声で「ぼっちゃま」は囁き、微笑を浮かべた。
霜月玲は心の中で考えていたことを「ぼっちゃま」がテレパシーで返事をしてくることになれてきた。
欲情の発作を「ぼっちゃま」が夢と現実の境界で解消してくれる。
実際には指先すらふれていないのだが、何度も繰り返えされた奇妙で淫らな共感によって、二人だけの会話もできるようになっていた。
霜月玲の能力が誘発されるように急激に覚醒していく。そして……。
真夜中、一人の時間にベットの上で這いつくばっている。尻を上げてシーツを握りしめる。
ぷるぷると内腿を痙攣させて、膣内から這い出てくる感触に声を上げた。
霜月玲は這いつくばって下着の上から自分のクリトリスを指先で弄っている。
下着姿であえいでいる。
現実と夢の境界に引きずりこまれていた。
彼女は自分の股間のわれめを内側から拡げて這い出てくる湿った音を聞いた。
にゅちゅっ……ぐっぐっ……。
現実に起こるはずのないことだとわかっていて、これは幻覚と心の中で言い聞かせていても、手のひらほどの球体が吐き出されてくるたびに、頭の中が快感で真っ白になる。
泣きながら腹部を内側から圧迫していたものを吐き出していく。
下着を愛液がたっぷりと濡らす。
「ひぅっ、んああぁっ!」
きゅぽん、と見えないが感触がある卵が股間から抜け落ちる。
霜月玲はベットの上にあるはずの卵をさがすが消え失せていて、ぽっかりと心に穴が空いたような淋しさがこみ上げてきた。

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