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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 23

「明晰夢だとしたら二人で同じ内容の夢をみることは、逆に難しいと思いますけどね。それぞれの意思で夢の内容をコントロールしようとするわけですからね」
ここで精神科医で催眠セラピストの石田弘美が、ユングのシンクロニシティの話をした。
「世界中のすべての人が同時に同じ夢をみているという説で、その時は気がついていなくてあとから確信するというんですけど」
「そうなるとここにいる四人がみる夢は、本当はひとつの夢の世界のそれぞれ別のところで起きている出来事を記憶しているということになります」
「ぼっちゃま」と霜月玲は講義を聞いている学生のように二人の説明をうなずきながら聞いていた。
「脳波の測定で夢をみている可能性が高い脳波が二人で同時に記録されたとして、同じ夢をみているかどうかはわかりません。目がさめてから話をしてみれば似ていると思うことはあるかもしれないということです」
小林美花はそう説明した。
「目がさめた直後に同じ夢をみたとわかる本人たちに自覚があることは?」
霜月玲が質問する。
後催眠暗示。
催眠中の被験者に対し、その催眠から覚醒したあとに、一定の行動をとるようにかけられる暗示。通常、覚醒されたあとでは「暗示されたこと自体をすっかり忘れるように」という健忘暗示と一緒に与えられる。
これによって被験者は催眠中暗示された行動を,覚醒後に行う。種々の心的疾患の催眠療法に利用されている。
「二人には後催眠暗示を使用した催眠が行われていて、その時に同じ行動の指示が与えられたのではないか、それが同じ夢としてあらわれたのではないかと、私と弘美は推測しました」
「では、僕と小林先生が同じ夢をみたと目がさめたときに、二人ともすぐにわかったとしたら、僕とレイさんが誰かに催眠で記憶を操作されたわけではないという証拠にはなりますね」
ちらりと「ぼっちゃま」が霜月玲の表情をうかがうのを、石田弘美は見た。
「私は、ぼっちゃまがそうしたいならかまいませんが、石田先生はどうでしょう?」
本日が初対面で以前に面識がない二人。
もしも、すでに石田弘美は催眠をかけられていて、記憶操作されていたとしたら、小林美花が適任だと思われる。
脳波の測定は石田弘美が行うことができる。
性的快感をともなう夢でも、小林美花は男性との性体験はない。
「ぼっちゃま」には石田弘美と小林美花が恋人どうしであることは教えていない。
親友だと伝えてある。
どうなるものか、石田弘美は小林美花に実験の被験者になってみてほしいと頼んだ。
小林美花には先入観を持たないように性的な夢をみることは教えないことにした。
「ぼっちゃま」に脳波測定用の電極のついたキャップをかぶせ、また脈拍なども同時に測定するために霜月玲は石田弘美の指示で準備を手伝った。
小林美花も準備が完了し、二つの医療用ベットに二人が仰向けに横たわる。
まず二人とも目を開けた状態で深呼吸をして脈拍や血圧を落ちつかせたところで、二人には光の刺激に反応しないようアイマスクを着用してもらう。
霜月玲が石田弘美のそばで、ゆったりとした病衣姿で横たわった二人と画面を見つめている。
実験開始。

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