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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 22

夢と現実の境界というものを体験してみたい。
石田弘美は催眠を体験させることを提供できる。
それとひきかえに「ぼっちゃま」の特別な力を体験させてもらいたい。
「霜月さんから不思議な力について少しだけ話はうかがいました。不思議な夢をみている状態は、睡眠中なのか催眠中なのか、ということですね」
石田弘美は「ぼっちゃま」がどんな反応をするか気にしながら話を切り出した。
「脳波の波形から、夢をみているか、睡眠中か催眠中か判別することは可能ですか?」
「設備がある病院や大学の研究室でなら調査はできると思います。私のクリニックでは無理ですが……」
「わかりました。レイさん、なんとかなる?」
「ぼっちゃま、大崎教授はどうでしょう」
「却下。他には?」
「あの……」
二人が同時に石田弘美の顔を見つめた。
「私の親友にちょっと変わった研究をしている者がおりまして、そこなら私たちだけで他人に知られずに調査できると思います」
「うん、いいかも」
にっこりと「ぼっちゃま」が笑って言った。石田弘美は、その笑顔のあどけない表情がかわいらしく思えて胸が高鳴った。男性じゃなければよかったのに。
催眠セラピスト石田弘美の恋人である超能力研究者小林美花は、石田弘美が連れてきた二人を見て「すごい美人がこんなところに……これは夢?」とつぶやいて石田弘美にお尻のあたりをつねられた。
「超能力といっても、テレパシーと夢の関係を調べています。弘美から聞きましたが、二人が同じ夢をみることができた話はとても興味深い話ですね」
石田弘美と小林美花の服装やショートヘアーの髪型はおそろいで、二人でならんでいると年齢の近い姉妹のように見える。
「超能力研究というのは人間の能力の研究で、そうですね……握力を測定してリンゴを握りつぶすことができる人とそうではない人がいることを記録しているような感じです」
「リンゴを握りつぶす?」
「たまにリンゴを握りつぶす握力がほしい人たちがまちがって来ますが、それは握力を鍛えるための道具を自分で勝手にスポーツ用品店でお買い求めいただくとして」
「宗教の人とかね」
石田弘美が言って笑った。
「そうそう、修業中です、とか言って」
と小林美花も思い出して肩をすくめて笑う。
精神科医と脳科学者の恋人たち。
「夢をみていて、これは夢だと自覚があるまま眠り続ける生理現象を明晰夢といいます」
明晰夢は脳内において思考・意識・長期記憶などに関わる前頭葉などが、海馬などと連携し、覚醒時に入力された情報を整理する前段階において、前頭葉が半覚醒状態のために起こると考えられる。
「明晰夢の内容は見ている本人がある程度コントロールしたり、悪夢を自分の望む内容、厳密に言えば無意識的な夢と意識的な想像の中間的な状態に変えたり、思い描いた通りのことを実現可能な範囲内で覚醒時に体験したりすることが可能といわれます」と小林美花が、催眠中で暗示の語りかけにより夢の内容が誘導されていなかったとして、もしも睡眠中であったとしたら明晰夢かもしれないと言う。

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