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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 19

催眠治療で数多くの失敗を記録として残したことで精神分析の父と呼ばれたフロイト博士は、性的欲求の緩和による治療を確立しようとした。
性的欲求は催眠のトランス状態に導くには恥ずかしさなどの心理的な壁があり、深いトランス状態に誘導して暗示を与えて思いこませるには適していないことがわかっている。
例えば夢、口癖、好き嫌いなど本人が気づいていない癖を指摘した上で推論して患者を納得させるための証拠作りに催眠は利用される。
患者が納得するなら、前世からのたたりでも、子供のころにあったできごとでも、科学的な根拠があろうがなかろうかかまわない。
患者が信じて納得するものならなんでも。
トランス状態にある患者に語りかけたり、音を聴かせたり、匂いをかがせたり、医師が患者を誘導する必要がある。自己催眠でも鏡で自分の姿を見て、声に出して自分に話しかける誘導を行う必要がある。
誘導なしで他人をトランス状態に導くなど催眠ではない。
身を横たえる、目を閉じる、など日常的な動作でトランス状態になるように訓練された場合でなければありえないことだとカウンセラーは考えた。
第二次世界大戦中のドイツの収容所で、囚人たちに朝の行進のとき笑顔を作れなければ労働のための体力がないと判断し処刑すると強要させ続けた結果、囚人は衰弱しきっていても、笑顔を作り続けた。つまり、トランス状態になり性的な夢をみたと思いこまなければならない強制が行われたのではないか。人為的なトラウマが作られた可能性。
そうしなければ命にかかわると本人たちが認識したのち、催眠によって記憶のすりかえや隠蔽が行われているのではないか。
霜月玲にそのようなことはなかったか質問してみてもわからないと言うだろう。
催眠が悪用されたとすれば、トラウマの治療までは不可能だとしても、記憶操作の暗示を解除することはできるはずだと、カウンセラーは判断した。
二人とも誰かの性欲処理の生きた道具にされていたか、霜月玲に資産家の子息による性的な虐待が行われているかもしれないと、カウンセラーは内心では激怒して邸宅を訪問した。
邸宅はかなり立派なものだった。
カウンセラーは霜月玲の運転する高級車の出迎えを受け、自分のクリニックがある駅前ビルからやってきたが、高級住宅街の中でも、広い庭があり建物も由緒ある洋館であるように思え、少し緊張した。
これぐらいでびびってどうする、しっかりしなくちゃとカウンセラーは自分に言い聞かせた。
「ようこそ、先生」
とても綺麗な顔立ちの美少女に握手をするために手を差し出してきた。一瞬、見とれていたカウンセラーだったが、とても繊細そうな華奢な手だと思いながら握手を交わした。
この日も彼は黒を基調としたゴスロリ服を着用しており、霜月玲がメイド服ではなく女性用のスーツを着用していて、二人が並ぶと宝塚歌劇団や演劇の女優たちのようだとカウンセラーは思った。

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