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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 18

彼より先に、霜月玲が夢と現実の境界から戻ってきた。開かない扉の前で絶望していたが、その背後に少女が立ち抱きしめると、少女の体験した記憶が流れこんだ。
霜月玲の肉体の中に「ぼっちゃま」が入り込んでしまい、少女が「ぼっちゃま」を犯したこと。
しかし、それを「ぼっちゃま」が心と体で受け入れて、霜月玲の心の中に隠れていた少女を帰らせたこと。少女が与えた快感も限界まで焦らされ射精した快感もまた、霜月玲の中で再生された。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
霜月玲は目をさましても、すぐに起き上がることができなかった。
誰にも服従などしない、誰であっても信じたりはしないという怯えと敵意が消えていた。
三十五歳の霜月玲は十七歳の「ぼっちゃま」に恋をした。
夢と現実の境界に踏みこむほど、本人も気がついていない隠された心があることを彼に知られてしまう。
霜月玲が財力を望んだ心は、他人に虐げられたくないという心とつながっていた。
夢と現実の境界で、強烈な愉悦を交わしあい求めあって、ありのままの心を受け入れてもらえる者がいると認識した瞬間に幸福感と強い愛情が生まれる。
彼は自分の秘められていた力をもっと知りたいと思った。霜月玲はそれを聞いて、協力いたします、と嫉妬心を隠して受け入れた。
愛する「ぼっちゃま」が夢と現実の境界でのできごとだとしても、自分以外の他人の性欲にふれるのは心おだやかではいられない。
催眠術でトランス状態にして、過去や前世などを本人に想像させる。現実の生活で隠している不満やストレスを発散させることで気分をすっきりさせるということを仕事にしているカウンセラーがいた。
「ぼっちゃま」が噂話を聞き会って意見を聞いてみたいと言うので霜月玲はアポを取った。
「はじめまして」
カウンセラーは二十六歳の女性でもともと学生のころは精神科医を目指していたが催眠療法に興味を持ち、薬物療法を必要としない段階の患者の治療をおもに行っていると霜月玲は説明を聞いた。
都内高級ホテルのロビーでの趣味の集まりやパーティーなど、金持ち連中は情報交換や人脈を広げることに時間をかけている。
そこで本当の親友など見つけるつもりの者や商売の取引相手を探す者はいない。
ただ、噂話を拾い集めるために集まっている。
彼はまだ未成年の「ぼっちゃま」ではいくら資産家でも相手にされないのを知っている。
また自分の容姿が珍しい珍獣のごとく噂にされるのは気にくわない。
そこで父親の秘書として、本人のかわりにそうした集まりに参加してきた霜月玲が彼のかわりに情報を集めてくる。
金持ち連中やその身内で精神科のクリニックに通院させずに相談を受ける有名大学教授の一番弟子は、個人経営のカウンセラーで腕前は良いという噂を聞いたことを、霜月玲は正直に話した。
「教授からの紹介状を持参されたらさすがに断れないところです」
カウンセラーはメガネのズレをなおすと、微笑を浮かべた。診察室で霜月玲と白衣姿のカウンセラーは話している。
「ぼっちゃま」は教授の経営する病院に寄付をして紹介状を買った。
夢と現実の境界について話をすると「ぼっちゃま」の予想通りに噂の若き美人カウンセラーは興味を持った。
「それが催眠なのかそうでないのか、先生のご意見をうかがいたいそうなのです」

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