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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 14

「ねぇ、一緒に来て」
少女が霜月玲の手をひいて湖の中へ沈んでいく。あらがうこともできないまま、霜月玲も湖の中へ。
二人が水中に没して姿を消すと湖のさざ波はしだいにおさまり、またまぶしいほどの光を取り戻す。
何事もなかったかのように。
彼は一度探索を中断して、現実に意識を戻し、寝室のベットで身を横たえているはずの霜月玲を目ざめさせようと考えたとき、ぼっちゃま、という霜月玲の声を聞いた気がした。
「レイさん、どこにいるの!」
彼は叫んでみたが返答はない。
彼は目を閉じ、耳をすました。
まぶたを閉じて霜月玲の声をとらえようと集中すると、彼の姿が透明に薄くなっていく。
やがて、彼がいたところは濃い霧につつまれた。彼の姿は、森の中から消えた。
夢と現実の境界でさらに夢の中へと彼の意識は踏みこんていった。
霜月玲は、自分が夢と現実の境界にいることを一瞬忘れた。湖の中へ連れ込まれたはずが、気がつくと「ぼっちゃま」の寝室の上で、全裸ではなくふだんから着なれたメイド服姿だったからだ。
不思議な夢が終わったのかと少しほっとしながら、しかし内心では夢の中の現実のセックスでは体験できない快楽のことを思い出しながら、ゆっくりと身を起こして、床の上で同じように寝そべったはずの「ぼっちゃま」がいないことに気がついた。
部屋を急いで出る。なにか嫌な胸騒ぎがした。
部屋を出たはずが、同じ「ぼっちゃま」の寝室の中へ。霜月玲が愕然となり立ちすくむ。
夢の現実の境界にまだ自分はいる。
振り返ると背後で開いた扉のむこうでは自分がベットの上で横たわっている。
そして「ぼっちゃま」がいるはずのところに、自分の少女の頃そっくりな少女が全裸で横たわっているのが見えた。
少女が目を開き、身を起こしたところで、バタンと扉が激しい音を立て閉じた。
扉は霜月玲があわてて開こうとしても、開かない。
霜月玲は扉を激しく両手で叩いた。何度も。疲れ果てるまで。
崩れ落ちるように両膝をつき、ひたいを扉に当てたまま、うつむいて嗚咽をもらして泣いた。
「ぼっちゃま……たすけて」
霧の森の世界の湖からあらわれた霜月玲そっくりの全裸の少女が、ベットの上の目を閉じている霜月玲を微笑を浮かべながら、頬をそっと撫でた。
「ずっと一緒だったの……」
少女が霜月玲の髪を撫でながら言った。
「あなたは私、私はあなた」
少女はメイド服姿の霜月玲のスタイル抜群の成熟した大人の女の体つきを確かめるようにふれていく。
そしてベットの端に手をついて前屈みになると、唇を奪った。
そのとき、霜月玲が急に目を開いた。
手をのばして少女を突き飛ばす。
「きゃっ!」
小さな悲鳴を上げて部屋の床に少女が倒れた。
霜月玲が上半身を起こして少女を見つめた。
「あなたは……」
少女が起き上がると緊張した表情で、一歩下がって身構える。
霜月玲を見つけ出そうとした彼が飛ばされてきたのは、現実にそっくりな夢の世界にある霜月玲の肉体だった。

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