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淫獄
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫獄 13

森の中は物音ひとつしないが、気配だけは誰かに見られているような感じがする。
足元は毛皮の絨毯のようにやけに柔らかい。草のような影がびっしりと森の中の地にひろがっている。
視界は赤い光によって霧がそまっていて樹木の幹や枝葉が影絵のようにある。ふれてみればそれは影なのに感触だけは現実の世界の木や葉にふれているのとかわらない。
彼は警戒しながら森の中にできている小道をゆっくりと歩いていく。
以前の夢と現実の境界は闇だったが、霜月玲の存在を感じとり見つけるのは容易だった。
闇の中で怪物に凌辱されていた霜月玲を救うために怪物を消滅させるのが困難だった。
今回の濃霧と陰影の世界では、彼女がどこにいるのかなかなか見つからない。
彼はまだ能力を使いこなせていない。
霜月玲もまた不安を感じながら「ぼっちゃま」を探して森の中をさまよっていた。
夕暮れか朝焼けのように染まっている世界。
以前の闇の世界では突然捕縛されていた。
襲いかかってくる怪物が出現しないか、不安を感じずにはいられない。
歩き続けると森が開けたところに奇妙な湖があるのを、彼女は発見した。
「……きれい」
霧と森を染める光は湖水が発光しているのだ。
目を細めてほとりに立って湖を見つめた。
ふいに中心から波紋が広がり湖に波が立つ。
すると光が淡くまぶしさがやわらぐ。
すると湖の向こう側から、人影が水面の上を一歩ずつあるいてくるのが見えた。
逃げなくてはいけないと思うが動けない。
人影が近づいてくるにつれて、はっきりと姿が見えてきた。
あれは……まさか……。
全裸姿の少女が、ひたひたと近づいてくる。
微笑を浮かべた表情の少女の顔は、霜月玲の幼いころとそっくりだった。
少女が手がとどきそうな距離の水面に立って霜月玲を見上げている。
「私はあなた、あなたは私。みーつけた」
少女が金縛りで動けない霜月玲の腰のあたりに正面から抱きついてくる。下腹部のあたりに頬をすりよせて、うれしそうに笑った。

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