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呪淫契約
官能リレー小説 - ファンタジー系

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呪淫契約 3

「先生のところにお嫁さんにきたの?」
村の子供たちにエリーヌはすぐに気に入られた。
姫巫女エリーヌを辺鄙な田舎の小村で暮らす人たちは見たこともない。教会も宿屋もない村で、近くの森で収穫したものや、自分たちで耕した畑で収穫したものをたまに訪れる商人に売るぐらいで、基本的には自給自足の生活。
村から出たことがないまま一生を終える庶民たちには、大神官など聞いたこともない。
「そうね」
「あのね、大きくなったらきれいなお嫁さんになりたいの」
「そう。好きな子いるのかな?」
「……みんなにはないしょだよ!」
照れて笑いながら、しゃがんでいま女の子は、エリーヌから離れ、子供たちで集まっている方に、途中でふりかえり手をふってから走っていく。
見栄を張った貴族たちの暮らしや戒律に縛られた聖職者の暮らしとはかけ離れた庶民の暮らしに、エリーヌは不思議になごんだ気持ちになるのだった。
村人たちは呪術師の名前が自分たちよりも長いので「先生」と呼ぶ。名前が長いと聞いて呪術師は元貴族なのかもしれないとエリーヌは思う。
過去については「今、ここにいる。それでいいじゃないか」と言われると聞かれたくない、思い出したくない過去なのかもしれないと思い、それ以上はなんとなく聞けないでいる。
「たぶん国や身分がなかったら、きっとこの村の人たちみたいな暮らしなんじゃないか……」
エリーヌの髪を撫でながら、ベットの中で、ぽつりぽつりと話をしている。
どちらか先に眠って、朝がくる。
そんなおだやかな新婚生活を二人はすごしている。
呪術師が村から留守の間にはエリーヌが村人たちの治療を施す。
もともと神殿から出ない生活をしていたエリーヌなので館や村や森だけでも、のびのびと歩きまわっているだけでも、自由な気分ですごせる。
エリーヌはまだこの村の秘密を知らなかった。
この村の村人たちは全員、血縁をたどればつながっている。
呪術師とエリーヌはその儀式に参加しないが、村人たちはそうしなければ村が滅びることを知っている。
その儀式を受け入れることができるなら、村で暮らすことができる。
村の子供たちは、村の子として育てられ、誰かの家の子という考えはない。
村の子供が「およめさん」というのは、村の男性の誰とでもセックスすること。
女性を専有せずに、誰が孕んで生んだ子であれ、自分の子供として見守り育てる。
儀式の夜。
呪術師はエリーヌに朝まで目覚めないように術をかけ、館を結界で誰も侵入できないようにする。

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