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陥落
官能リレー小説 - ファンタジー系

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陥落 9

原因はヨシアキが相手の手もつながないのと、恋人に選ぶのは相手から積極的に告白してきた女性たちだったからだ。
すぐに飽きられてしまう。
タカハシヨシアキ。それが復活したときに魔導師がおぼえていた自分の名前だった。
それまでの「仕事を当ててみて」といえば「モデルとか俳優とか?」と相手が答えるような姿ではなくなった。
その前の獣人化した獅子の頭部に鷹の羽を持つ怪物の姿でもなくなった。
そしてかつてシャムを作り出した、自らの肉体を捨てた世捨て人の賢者の老人でもなくなった。かつて五人の大陸の支配者がいたが、彼はその一人だった。
帝国騎士団の参謀が自らの命をひきかえしても獣化した魔人から魂を引き離す秘術を試みた場所がこのダンジョンだった。
「うははははっ、死にたいやつは前に出ろ!」
騎士団の軍勢の前でも怯むことなく、魔人は高笑いをしながら魔力で強化した剣による剣戟や銀弓の猛攻をたやすくあしらってみせた。
「こっちについてらっしゃい!」
そう叫んで疾走したのは帝国騎士団参謀官アルシルアである。
「アルシルア!」
以前の戦いで帝都の宮殿に侵入したとき、左腕と右足を炸裂弾でアルシルアに吹き飛ばされて、やむなく撤退させられた。
そして一度死にかけて新しいキメラの肉体を作り出して命をとりとめた。
「同じ魔法弾はもう効かぬぞ、たっぷりと礼はさせてもらうから、覚悟せよ!」
アルシルアが事前にダンジョンにゴーレム兵を配備して、儀式の大広間で魔人を待った。
「来たわね」
丈の長いゆったりとした法衣をまといをまといアルシルアは、魔法陣の中央で怪物と化したかつての恋人を待っていた。
無傷で儀式の大広間に現れた魔獣が咆哮する。
魔法陣の周囲で火花が舞う。
「魔法の障壁か……」
魔法陣の中央で錫杖を両手で持ち、魔獣を見つめているアルシルアの目は涙でうるんでいた。
「この障壁を越えられるなら私を殺しなさい」
「言われなくても、一度殺されかけた恨み、きっちり返させてもらうぞ」
魔獣が魔法陣の見えない障壁に触れた瞬間、その指先から急激な石化が始まる。
「グオオオオッ!」
苦悶の叫びを上げながらも魔獣は歩みを止めない。
アルシルアの顔に指先がふれそうなところで、魔獣は完全に石化して停止した。
アルシルアが錫杖を手放し、魔獣の石像に抱きついた。
涙が石像に滴り落ちる。
「愛していたのに……私は……」
「……ならば、俺の子を孕め」
石像の中から声がした。
砕け始めた石像の中から粘液体のスライムが溢れ出てきた。
「あっ!」
スライムがアルシルアの体にねっとりと絡みつく。
粘液によって法衣が濡れてアルシルアの女らしい体の線があらわになる。
アルシルアはあごから下を、半透明な粘液体にすっぽりと包まれ、手足がうまく動かせない。
粘液体が流動するたびに、柔肌にさわられ、揉まれているような感触が伝わってくる。
純白の法衣がじわじわと溶かされていく。
「くっ、あぁっ……」
「骨まで溶かしてやろうか?」
「こうなったら、一緒に……」
半透明の粘液体の中で小さな気泡が生じて、半透明だった粘液体が紅く染まる。
「このまま焼き尽くしてあげる。一緒に死んで」
粘液体から蒸気が上がりはじめた。

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