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陥落
官能リレー小説 - ファンタジー系

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陥落 8

かつての支配者たちが絶滅の危機を予測し、その対策として繁殖力の旺盛な人間の肉体の特徴をかねそなえた新たな肉体の獲得をめざした。
絶滅の危機とは、かつての支配者たちが長命とひきかえに生殖力があきらかに低下していき、やがて、生殖力がなくなることであった。
異種族との間では子孫を残すことはできない。
肉体が老化してしまえば衰弱してやがて意識は脳細胞の死により、すべての記憶や人格を消失する。
これらを解決するために、人間の牝を孕ませることで子孫を残し、さらに、その新たな子の肉体に強制的に自らの記憶や人格を移植して生き続けることを画策した。
しかし、その技術は完成する前に、別の問題によって頓挫することになった。
長命すぎて生きることに退屈しきってしまい、意識や人格を自分の肉体から離脱させ、別世界の人間と一時的に融合して、疑似体験をする娯楽に耽ったのである。
やがて大規模な事故が起きた。
魂が肉体から離れたまではよかったが、その後、もともとの肉体に戻ることができなくなったのである。
こうして人間は優秀な魔導技術を持つ支配者を失った。
魔法の知識は長い歴史の中でかなり失われてしまった。
かつて魂が戻る肉体がもしも不測の事態で損傷や死亡しないように護る最後の獣として、スライムは開発された。
肉体が失われたとしても、人間の肉体を再生することができるだけではなく、人間を管理する人格システムを与えられていて魂を離脱している間の支配を任せることができた。
人間の増殖のしすぎも警戒されていたので、人間を溶かして吸収するスライムの補食によって人間の数の調整管理ができた。
人間の性別も変化させて肉体を一時的に奪うことで男性、女性どちらの性交も疑似体験をして楽しんでいた支配者たち。
だが魂が融合しすぎて、自分が本当は誰かを忘れてしまうこともあった。
スライムで強制的に溶かされて快楽を与えられ殺害されられることで、使っていた人間の意識や肉体は失われるが、元の肉体に戻ることができた。
やがて、スライムに自分のお気に入りの人間の形状、髪の毛の太さから、舌の長さ、膣の形状、足の小指の爪のかたちまで完全に記憶させて、精密なかりそめの肉体を作らせることで、妊娠はできないが、強制終了してもお気に入りの体を使うことができるようになった。
こうなると、元の肉体に戻る者はさらに減少した。
肉体など魂の入れ物にすぎない。
スライムによって溶かされたなら、元の肉体に一度戻らなくても、完全な複製のかりそめの肉体で待機して、自分の子を人間の牝の誰かを孕ませたあとで肉体を奪う。
スライムの性能はさらに高性能になっていった。
不老不死とはいかないが、肉体を乗り換え続けることで永遠の命を実現したはずだった。
だが、人格を消されて肉体を奪われることを拒絶する人間もいた。適合しない人間の肉体は奪えない。
子の肉体を奪うのは適合しやすいためである。
魔導師は今はかりそめの肉体だが、シャムはスライムの最終進化型であり、それから作られた肉体は人間の牝を孕ますことができる。
シャムがいなければ魔導師は復活できなかった。
異世界に魂を飛ばされ、記憶を失った魔導師は異世界で一生を終えるはずだった。
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