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陥落
官能リレー小説 - ファンタジー系

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陥落 7

何度も自慰をしても、絶頂することができなかったのが嘘のようだった。たやすく快感に溺れさせられ、自分から快感の果てに孕まされたいと女盗賊ライラは目を閉じて甘美な気だるさに身をゆだねた。
そのまま眠りに落ちたライラの寝顔を立ち上がった魔導師が見つめながら思い出していた。
かつて魔導師はある貴族の令嬢を孕ませたことがあった。ライラは母親にとても似ている顔立ちをしている。
ライラがなぜ女盗賊になった事情はわからない。
だが、魔導師には、すぐに血を分けた娘だとわかった。
帝国騎士団参謀であったライラの母親が我が身を犠牲にして行った秘術により、魔導師の魂は異世界に追放された。
法術師がその時の性交で孕んでいたとすれば、ちょうどライラが同じ年頃の女になっている。
「それは間違いないのですか?」
「ああ、間違いない」
ソファに腰を下ろしたまま射精を終えた魔導師は、シャムに過去の戦いについて語った。
その後、股間以外を女体化させられた少年ライネルをペットとしてもらうことを条件にシャムが、魔導師が人間の牝である女盗賊ライラとの性交を許可したのは、過去の因縁についての話を聞かされていたからでもある。
その話を聞かされていなければ、魔導師の精液を他の牝に与えるなど許さなかったはずである。
ライラの母親は帝国騎士団の参謀にして優秀な法術師だった。
異世界に魂を飛ばされた魔導師は、魔獣化の呪法により手に入れた肉体を失った。
魔導師が再びこの世界に復活した時、遺跡の地下ダンジョンに宝物を求めて侵入した若い男が溶かされて吸収されかかっていたが、その若い男と融合し、逆にシャムの粘液体の一部を奪い取ることで這い出てきたのだった。
魔導師の体液、とりわけ精液はシャムの粘液体が変化した成分が濃く含まれている。
シャム。古代遺跡の地下ダンジョンに隠されていた遠い過去の高度な魔導技術によって作られた生きた兵器。
人間が繁栄する前は人間と似てはいるが、まったくちがう種族が、人間を家畜としていた。
その高度な魔導技術を持つ種族は長命で繁殖力では人間よりもかなり劣っていた。
やがて、家畜の人間とその種族との間に生まれた忌まわしき子供たちは、反乱を起こした。
人間はその後、かつての支配種族のことを神話として断片的に語り継いだが、そのほとんどを忘れさっている。
シャムが人間に対しての認識、餌もしくはペットという認識。それは遠い過去のかつての支配者の人間に対する認識のなごりといえる。
魔導師は人間の姿をしているが人間ではない。
かつて人間を支配していた、いにしえの種族の肉体をシャムの粘液体から再構成されるときにたまたま獲得した魔人である。
かつて人間だったが、魔獣化の呪法に手を出して怪物となったあと、帝国騎士団との戦いに敗れて異世界に魂は追放された。
魔獣化の呪法は単純に人を越えた能力を持つ獣人になることができる術ではなく、未完成の法術だった。

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