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陥落
官能リレー小説 - ファンタジー系

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陥落 13

「ところで、そこには何があるのかなぁ」
少年の姉が目を細めて少年に言ったあと、ぐいっと酒を飲む。
鑑定士はちびちびとしか飲んでいないがすでに酔い顔が赤らんでいる。口当たりは良いが強い果実酒である。
「隠されたお宝だよ」
少年が、ある山賊が帝国騎士団に捕縛されたが、その山賊が貴族の屋敷から盗み出した宝石をダンジョンに隠したという噂話をした。
鑑定士は、少年の話を聞いて目の前の三人の目つきが一瞬だけ変わった気がした。
「なるほどねぇ」
鑑定士は知らない情報を知っている姉がつぶやく。
ダンジョンに行った者が失踪している。それは、そのお宝の隠し場所を隠すための口封じだと考えている。
「ど、どうやって知った?」
「そ、そうだ」
双子の兄たちの声は低く、どもっていた。
「ちゃんと聞き出したんですよ」
三人がその一言でうなずいた。
鑑定士だけが首をかしげていたが、少年に微笑を浮かべてにっこりと見つめられて、つられて笑った。
「古代遺跡らしい。僕らだけでもいいんだけど、みんなも仲良くついてくるなら一緒に宝探しをしようと思うんだけどね」
三人がうなずいた。
「エリーヌ、野犬がいても、盗賊が現れても、僕らが君を守るからね、安心して下さい」
「うん」
鑑定士エリーヌが持つ許可書があれば、遺跡のダンジョンを探索することができる。
許可書がなければ、帝国騎士団が管理している土地に不法侵入したことになる。城や貴族の屋敷などに無断で侵入するようなものである。
「それにしても、なんでそんなところに隠したんだろう、頭悪いんじゃない?」
「山賊が隠したんじゃなくて、没収されて、その遺跡には祭壇があって、そこに安置されたらしいんですよ」
「それってヤバイものじゃないのかい?」
「僕らにはわからないことも鑑定士ならわかるはずだから。エリーヌがちゃんと調べてくれるはずだよ、姉さん」
「鑑定士さん、見つけたらよろしくね」
鑑定士は魔力を持つアイテムを調べることを得意とする。
「はい」
帝国騎士団がダンジョンに奉納した腕輪はもともと神殿の神像についていた装飾品だったが、盗掘されて、闇商人によって売りに出されたのを、たまたま知らずに買った商人が貴族に献上した。
貴族の屋敷から山賊が盗み出したが、騎士団に没収された。

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