淫魔剣トリス 33
「はぁっ…はぁっ…って、トリス…お前いいのか?リリィのこと嫌じゃないのか?」
俺は耳を疑っていた。
いくら窮地を救ってくれたリリィとはいえ、昨日の一件であれほど俺に対して怒っていたトリスがなんでまたリリィの名前を?
「おはようっ!ローラン…ふふふ、それについては私から説明をするよ?」
「り、リリィっ!」
俺は背後から現れたリリィにびっくりして声をあげていた。
リリィはその姿…全裸にバスローブのままコーヒーをついできてくれたようだが、今の姿をトリスが見たらどうなるかーーー
「ええ、お願いしますね、リリィさん!」
俺は呆気に取られていた、あのトリスが嫉妬もせずに笑顔でそう返したのだ。
いったい何が起こっているんだこれは?催眠術とかちゃちなもんでは無さそうな気がするが…そんなことを考えている俺とご機嫌なトリスにリリィはコーヒーを差し出し、そのまま語り始めた。
「起きたときは大変だったよ、トリスちゃんは私を殺さんばかりだったからね…でもさ、考えたんだ…なら、二人でシェアしあえばいいじゃないか、ローラン君とトリスちゃんを…ってね?」
「おいお前…まさか…」
俺が何を考えているのかを大体察したかのように下を向いて、リリィは苦笑しながらも答えた。
「魔力石を上手く使えば種無し触手なんかよりもよっぽど気持ちよく致せるんだよね…それもお互いに…それに私ももうこの騒動に巻き込まれたんだから、ある意味運命共同体だし、二人が仲間にいれば心強いからね…別にお互いを奪い合うとかそんな気はないし、トリスちゃんも解ってくれて何よりだったよ」
つまりは…ヤッた訳か、トリスと…何だかパーティーの全員と関係を持っていると思うとかなり複雑な気分にもなるが…まさかこいつまでそれを望んでいたとはな、恐るべしだ、リリィは。
そしてそれに釣られるようにトリスも頬を真っ赤にして俯いている…なんというか解決は解決した問題だが、どこか釈然としないな。
「あの…ええと…別にご主人様は嫌いじゃありませんし、魔剣は主人しか愛せませんが…でも、あんまりにも凄くて…ご主人様を叩いたり、嫉妬したり、ついリリィさんを殺そうとしてしまったり…そう言うのはよくないなって思ったんです、その…リリィさん、すごく優しかったですし…それに、リリィさんが辛いときに他の乱暴な人に抱かれようとするって危ないかもしれませんから、それならご主人様は信頼できるかなって、その…今以上にご主人様が上手になっちゃうかもしれませんし!!」
「……まあいいか、そういう考え方ができるだけ…それにリリィをトリスが殺したりしたら寝覚めも悪いからな…よし!そういうわけでまたよろしくな!リリィ!トリス!」
「は、はいっ!」
「ええ、よろしくねローラン君」
二人の考え方に対してなんとか区切りをつけるようにまとめた俺は、嬉しさ半分背徳感半分、そんな気持ちでリリィの入れてくれたコーヒーを飲んで目を覚ますことにした…散々搾り取られたせいで身体はだるい分乾いた身体にコーヒーは旨かったが、その酸味はまるで納得の行かない俺の心を味で表現しているかのようだった 。
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「うわぁ〜!素敵な街ですねぇ〜あれがヴァルナーっていう場所なんですかぁ?ご主人様?」
明くる日、俺たちは船に乗りヴァルナーへと向かっていた、が…俺は一人船酔いに苦しめられていた。
「すまんなトリス…今は…余裕がっ…うぅっ…」
前日に冒険中はあまり魔力補給ができないかもしれないという二人の懸念からたっぷり「抱かれた」と言った方が正しいような激しいセックスをすることになった俺は、その後リリィの奢りということでたらふく精力絶倫になるという噂のドラゴンの肉を食わされ…気づけば消耗による胃もたれにより、朝食も食べられないほどに酷い二日酔いに悩まされていた。
「うぅっ…お互いに仕方ないねぇっ…ローラン君っ…おえぇぇぇぇっ」
映像倫理上見せられないためか虹色の液体を吐きながら、これまた死にそうな顔色をしているリリィが語りかける。