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淫魔剣トリス
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫魔剣トリス 36

 魔術師ってのは何なんだ。変態の巣窟なのか。怪しい店が並んで妖しい雰囲気を漂わせ、百鬼夜行を昼にもやっているようですらある。
 瘴気めいたものを出している店さえあるし、常軌を逸した思考様式や美意識で成り立っている建物や店もあるらしかった。
 こんなおかしな場所にはいたくない。俺はそう思い、皆を見た。

「何なんだここは?不気味すぎるぞ。もう引き上げようぜ?」
「どうしたんですか?」
「私の魔法石を買ってくれないんですかぁ?」
「そんなに不気味かしら……?私達女性魔術師からすれば、山賊やレイプ魔や男同士で関係を持つ人の方がよっぽど嫌よ」

 トリスは魔法石を欲しがってるし、リリィやジュリアは魔術師の感性でここに順応している…ってかホームグラウンドのように振舞っている。ってか、男同士で関係を持つ人の方がよっぽど嫌って何なんだよ?

「ああもう、俺が間違ってるって事か。もう……」

 俺は頭が痛くなる思いがして、額を押さえていた。

「ちょっとリリィ、レイプ魔と男同士で関係を持つ人を同列にするなんて言いすぎよ。私達女に興味も持とうともしない、失礼な人達だとは思いますけど……」
「ごめん。サキュバスの考え方が顔を出してた」
「そうね……私も言い方がきつすぎたわ」

 リリィが謝罪する。異性を魅惑する淫魔からすると、同性愛者は厄介なんだろう。
 こういう所で淫魔的な考え方がぽろっと出てしまうのも、淫魔とのハーフ故の苦労の一つなんだろうな。人に言えない苦労もいろいろしてきたんだろう。
 流石にジュリアが慰めにかかっていた。

「とにかく、魔法石手に入れないと話にならないぜ。だろ?」
「欲しいですー」

 これではさすがに話が進まないし、頭が痛くなりそうだ。
 俺がトリスに向かって言うと、トリスもねだるように返してきた。

「そういうわけだから、さっさと店に入ろうぜ」
「そうね。どの店がいいかしら…うーん」
「とりあえず……『魔女エクセリスの魔法素材店』にしておきましょう。あそこが一番まともそうですし」

 ジュリアの意見で、俺達は『魔女エクセリスの魔法素材店』に入ることにした。

「ようこそ、魔女エクセリスの魔法素材店にお越しくださいました。何をお求めでしょうか?」
「なんだこれ…意外と普通だな…つーか礼儀正しい」

 一歩店の中に入ると、女性が丁重に迎えてくれた。しかも、店の中の雰囲気は意外とまともで、ごくまともな素材店の、魔法素材店版としか思えない。俺は思わず、いささか失礼な感想を呟いてしまう。
 この女性…俺達より少し年上の、楚々とした綺麗なお姉さんって感じの魔法使いだ。彼女が魔女エクセリスなのだろうか?俺の呟きは聞こえなかったのか、営業スマイルで無視しただけなのかはわからないが、穏やかに応対している。
 ジュリアとリリィは挨拶もそこそこに、あちこちの陳列物に目が行っている。
 結局、目的を述べたのはトリスだった。

「あの、魔法石が欲しいんです」


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