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淫魔剣トリス
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫魔剣トリス 13

刀身が短いから一発で倒しきれなかったが、彼女は何とかしたようだ。
もう少し近づけば、あの黒フードを攻撃できる。
あいつはまだ何か唱えているようだ。
さらに数歩走ると、別のオークが女の子の一人に追われて俺の進路に飛び出してきた。

「邪魔だ!あの世にどいてろ!」
「ごめんなさい!」

とっさに振ったトリスで奴の首元を掻き切る。
怒り任せの一撃にしては綺麗に入った。
溶断されたバターのように首を裂く中に、このオークを追い立てた女の子の謝罪の声が入ってきた。よし。

「いけ!」

絶命するオークをすり抜けた俺は両足を踏ん張る。
できるだけ走ってきた勢いを残したまま腕を振りぬき、トリスをあの黒ローブめがけて投げつける。
光を曳きながら、トリスが黒ローブの胸元へ飛ぶ……。
一瞬だけ、当たれ!と念じる間にトリスは見事命中した。
黒ローブがびくっと引き攣ったような挙動をして力を失う。
何とかなったのか?手裏剣術を修めているわけじゃない俺が、この距離で当てられるかどうかは賭けだったが…
いきなり現れた光の線、そしてそれが奴に刺さるのを見たクリスタちゃんが驚いて動きが止まる。
その光景を目にしながら俺の手は腰に。
下げていたロングソード、トリスと出会う前から使っていた普通の剣に過ぎないがこれを抜き、俺は叫んだ。

「みんな無事か!そいつから離れろ!」


用意周到…というか若干こちらにも非はあったが、それ以上に相手は事を進めるのがうまいやつだ、下手に近づけばどうなるかは解らない、俺はそう考えるとトリスに向けて呪文を口にした。 

「トリス!第二級解放だっ!」

「は、はいっ!わかりましたご主人様っ!」

トリスの声がテレパシーで伝わったのに合わせるようにトリスは光に包まれ、その姿を眺めのロングソードに変えていく、調度封印されていたのを俺が引き抜いていたのと変わらない形状だ…つまりは絶対に抜けない強固な杭にもなる、あれなら動くことは出来ないだろう。 

「く、クソッ!よくも姉さんをっ!」

相変わらずかクリスタちゃんだが、しかし事情を理解しやや後ずさりをして、そのままシーフ娘がクロスボウを構えたのにあわせ、自らも折り畳み式のクロスボウを取り出したクリスタちゃんは、俺を狙わないようにしながらも黒ローブに狙いを定めていた。 


「とりあえず顔を確認しようか…」

俺はじりじりと近づき、そのままローブを剥ぎ取り…そして驚いた。 

「なんだこりゃ?」

せっかくトリスを使ってまで押さえ込んだフードの下にあったのは土だった…人の形になってはいるが、これが敵の正体なのか?いや…確かにこいつは手から宝石化の魔術を出したんだからな…遠隔操作の人形ならそこまで器用な事は出来ないはずだ。 

「仕方ないなぁ…剣をー…」

「ああっ?ぬ、抜いちゃダメですっ!まだ何かあるかもしれませんからっ!」

ずぼり、とテレパスを送るトリスよりも早く、トリスを抜いた瞬間に、今度はローブがするりと飛び抜けるなりに宙を舞い、そしてそのローブの中央には再度、中身である何かが現れた。

「全く…乱暴ですね?やはり貴女方ギルドははじめからこうしてしまえば良かったんでしょうね?喰らいなさい、そして我が蛇の手の力に服従なさいっ!」


蛇の手…聞いたことがあるな、確かモニクの婆ちゃんがギルドの長をしていた頃にいた錬金術士集団で…あまりにも簡単に金や宝石を産み出すために市場価値を崩壊させかけて討伐されたギルドだったはずだ。
でもなぜ今さら…というか話自体は100年近く前の話だぞ、ならアイツは人霊か何かか…そういうことならここはリリィに任せるか…力を解放したトリスに頼るしかなさそうだな。 

「もう許しませんよ!この森は張り巡らせた結界で全て宝石に変えてしまいますからね!あなた達全員を宝石にして、蛇の手の再興の礎にしてあげましょう!」

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