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アラサー冒険者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アラサー冒険者 8


…ぬちゃぬちゃと湿った音を鳴らすランディの口腔内で、相手の不自然に長い舌がまるで、ネズミを捕食した蛇のように巻き付いて離れないまま膨れ上がって行く。
さすがの彼女もこれでは、内部からの圧力に邪魔されて、自分の口のなかを犯している相手を噛み千切ることもできない。

「くっ……ブふッ」
窒息しかけるところを危なくこらえ、鼻による呼吸に切り替えた時、それは起こった。
(!?)
さらに膨張した相手の舌先が、まるでぬるま湯の入った風船のようにはじけたのである。
吹き出した、半透明の液体の大半は噴水のように外に飛び散ったが、同時に飛び出した涙粒状の物体は、反射的にランディに呑み込まれてしまった。

「ウゴッ、ごふッ……ごほごほっ」
思わずランディがむせて咳を始めると、生臭い液体の糸を引きずったまま、フードの人物の口と舌からようやく解放された。

「ふふふ……これで神聖なる婚約の儀式が終わりました」
カサカサと喉を鳴らして笑いながら、細すぎる指先が彼女へと伸びてくる。
「……あとは、活性化をうながしてやるだけですねえ」

「さ、触るなこのケダモノッ!!」
思わず怒鳴り付けるランディであったが、その思考はいまだに混乱していた。

さっきは確かに自分の舌を噛み切ったはずだった。その血の味も感触も、炎を呑んだような熱い痛みも、コブのように固まって呼吸を妨げられた苦しさもはっきりと記憶している。心の中で、大切な相手に別れを告げたことさえもだ。
それなのに、今の自分は生きていて、こうしてまた辱しめを受けようとしている。
解けない疑問がただひたすら、なぜだ、なぜだ、なぜだと彼女の脳裡を駆け巡る。
「……ケダモノはお前のほうだよ、ランディ」
咳き込んだせいで涙がにじんだ両目でにらむ彼女の頬を、尖った指先がすべりおちていく。


「誇り高き人狼族などと笑わせる……所詮は血の薄まった飼い犬の末裔にすぎぬ。わたしに素直に従った牛頭種の方がまだ、身の程をわきまえている。そうではないかね?」
ランディの尖ったアゴを捕らえた指が、彼女の顔を上向かせた。
「………このわたしの生きてきた歳月にくらぶれば、お前たちなど赤子にも等しい」
そうささやきながら、見下ろす相手の顔をとらえたランディの両目は驚愕に見開いた!!

「家畜同然のお前らでせいぜい数億年、与えたはずの力をほとんど忘れてしまったヒト族などはほんの数万年の歴史にすぎぬ………その事をこれから思い知らせてあげよう。飼い犬には、しつけが必要ですから。ねえ、そうでしょう?」

愉快そうに嘲笑うその小さな顔は、複眼状の両目と2本の触覚を生やし、その光沢のある黒褐色の皮膚にたいまつの炎を反射させていたのだ!!

「触るなと言っているッ!!」
得体の知れぬ恐怖を振り払おうと、鎖に繋がれていない右足を思い切り蹴りあげる。

上半身の体重移動が見込めぬぶん、威力はそこそこながらも見事なまわし蹴りである。

爪先が風を切る音と、手首の鎖が鳴る音と共に、相手のこめかみをとらえた蹴りの衝撃音が洞穴に響き渡った。

「ウグォッ!?・・・無駄なことをする………まあいいでしょう」

普通の相手であれば。

蹴られた瞬間とっさに腕で身を守ったり、間に合わなくともせめて受け身をとろうとするものであろう。

そのどちらもせず、気絶したわけでもなくその相手は再び、例の羊皮紙になにごとかを書き記していたのだった。
小柄でひょろりと痩せた身体を、蹴り飛ばされた姿勢のままで………。
………………
…………
……

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