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アラサー冒険者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アラサー冒険者 43

『………す、すまない………』
初夜の閨で聞いたささやきと同じ、詫びの言葉。

『今まで、さぞや、つらかっただろう、アンナ?』

そうささやきながら最後に倒れた男こそ、男児が産まれなかったカストール家の存続のために婿となった、彼女の夫なのだった。

彼が血と涙を流しながら倒れ伏す一瞬に、アンナは悟った。
夫は、アンナ自身が望まぬ結婚をさせられたことに不満を抱き続けていたことを知っていたのだ。
自分を愛してもいない女を理解した上でその屈辱に耐え、黙って愛し続けてくれていたのだ。

周囲への不満を溜めるばかりだった自分とくらべて、なんという深い愛情だったろう。
ただ、気付くのがあまりに遅すぎたのだ。

そしてかの昆虫人間もいずこかに飛び去り、追撃するにはこれもまた、遅すぎたのである・・・

・・・・・・・・・・
この血なまぐさい未曾有の事件は後日、筆頭騎士のガストの乱心による不幸な事故として処理された。
かの昆虫人間を祝賀の席に潜り込ませた者が果たして乱心者ガストことガストール卿の仕業なのか、あるいは別の誰かの目論見だったのか。
真相は謎のまま、聖王家は継承権を巡る混乱期に突入してゆくのである。

しかし事故とはいえ、国王もろとも主だった貴族の代表たちまでが殺されてはなんの裁きもない訳はなく、カストール伯爵家は領地と権利を剥奪され、断絶されることとなったのである。アンナは貴族なので死罪は免れ、塔に幽閉される途中に辛くも脱走に成功する。

自ら夫を殺して未亡人となり、国王を殺した罪で家を失い、彼女は憎むべき昆虫人間を追うべくあてもなく旅立った。

・・・・・・・・・・

あれから2年が過ぎた。

あのときと同じようにまた、望まぬ相手との性交を強いられている。

悔しい。

しかし、少しも自分を愛さない相手への絶望的な愛に殉じて死んだ夫の苦しみに比べれば、ちっぽけな悔しさだ。

『すまない。つらかったかい、アンナ?』

今ならあの言葉に答えられる気がする。

「いいえ、あなたこそ」と。

夜明け前の温泉郷で牛の群れに犯され続けるアンナの瞳はしかし、誇りを失ってはいないのだった。

同じように隣で犯されるシーマの眼光も、隙をうかがう雌豹のそれのような危険な輝きを帯びている。

愛のために自ら愛を失った者と、家のために家を失った者。
互いの目が合った。

「いくイクッ、イクゥゥッ、イクよぉォッ!!」
「だめだめ、もうダメ、出ちゃうッ、なんか出ちゃうゥゥッ!!」
自分を貫く相手にしがみつきながら、尻穴を喰い縛った。

そのときだ!!

背後の石垣に突き立てられていたダガーが、繰り返し加えられた体重と振動の衝撃によって遂に、音もなく抜けてしまったのである。

その感触に再度、二人の女の目線が重なる。

尻穴に深く刺さったままのダガーの柄を、同時に引き抜く合図であった。

「イクよッ!!」
「いくわよっ!!」

尻の痛みなど意にも介さず、瞬時に肛門から引き抜かれたダガーはひるがえって、その切っ先は正面の牛男のうなじを貫いた。

呻き声すらあげずに崩れ伏すオスウシの傷口から、鮮血があふれて止まらない。

石垣に突き立てられていた刃が振動で磨かれ、硫黄で腐蝕した部分がほとんど削り落とされていたのである。
銀器の持つ破邪の効果が復活して、魔物の回復能力を再び阻害しているのだった。

「イケるよッ!!」
「当然ですッ!!」

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