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アラサー冒険者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アラサー冒険者 40

「オ オマエハッ!?」
「早くしないとここも崩れるッ、死にたくなかったらさっさと来いッ!!」
自分が出世するために拉致させ、さんざん犯し抜いたはずの犬の姫、ランディ。
敵対しているはずの他部属の少女の手を引き、自分を犯した相手に「来い」と言い放った声の主は、死ぬほどギガに責めぬかれたはずの彼女なのだった。

ギガ同様、ランディ自身も自分の行動の意外さに戸惑っていた。
しかし、愛する男や友もろとも、仲間を皆殺しにされた過去を持つ彼女である。例え敵であれ、目前で無下に失われる命を放って置けなかったのであろう。

知らずのうちに駆け出していたギガの背後で、通路内は大きく落盤を始めていく。
「ヴオオオッ!!・・・オマエラ ツ ツイテコイッ!!」
残った右腕で少女を抱き上げて叫ぶギガの足取りは、不思議と軽やかであった。

▽▲▽▲▽▲

薄紫に広がった空が、その明るさを強めてゆく。
長かった夜が明けようとしているのだ。

しかし。

アンナとシーマの地獄のような夜は終わっていなかった。
「うっぐ……ううッ」
もう性器だけでは追い付かぬと、両腕を縛っていた荒縄を解かれ、それぞれの手に半勃ちの肉刀を握らされる。
6匹目を越えたあたりからそうなったような気がする。7匹目だったか?
数えるのをやめてしまったのがいつだったのかも思い出せないアンナであった。

30年余りの彼女の人生。
オスウシの怪物相手こそ初めてとは言え、こうして意に染まぬ相手に身体をひらくのは、アンナにとって初めてのことではない。

・・・・・・・・・

アンナ・カストール33歳。

「カストール家に姫騎士あり」とうたわれ、王家直属近衛騎士に名を連ねるほどに成長する。が、そんな名声とは裏腹に、彼女の人生は彼女の意に染まぬものでしかなかったのである。
親の勝手に決めた相手を婿に取らされたのは15のときだ。
カストール侯爵家の存続のためとは言え、自分よりもはるかに弱い、ただ優しいだけの男に、妻として仕えなければならないなど、彼女にとっては屈辱でしかなかったのである。
アンナが結婚のために近衛騎士を辞した直後、自分に手合わせで勝ったこともないような男が近衛騎士団の筆頭に任じられた事もあり、彼女の悔しさはより強まった。

『すまない。つらかったかい、アンナ?』

初めて夫を受け入れた夜、涙を浮かべた彼女に向かってささやかれた言葉である。
破瓜の痛みに涙を浮かべたのだと、彼女を気遣った言葉であったろう。
だが、アンナのそれは紛れもない悔し涙なのだった。

やがて。

彼女の産んだ子どもたち2人は10数年程のち成人し、その長女が嫁ぎ先で初孫を授かった年のこと。

丁度聖王家に王女が誕生し、国をあげての祝賀会が催された席で、事件は起こった。

「俺は、女のあんたに勝ち逃げされたまま、お飾りの筆頭騎士だと長年、ヒソヒソと陰口を叩かれ続けた」
酔って絡んできたのは現近衛騎士団筆頭、ガスト。アンナが騎士を引退後に筆頭となった男である。

「幼い王女の御前にて、御前試合を申し込む!!………強いのはこの俺か、子を成してなお強さに揺るぎなしと噂される"良妻『剣』母"のアンナさまなのか!!」

試合用の木剣を投げ付けざま、ガストはひらりとテーブルに躍り上がる。
並んだ豪華な食事を蹴散らすと、投げつけたのと同じ作りの木剣を構えて見せた。

突然の事に給仕係や貴族らが逃げ惑うなか、投げ付けられた木剣を拾いもせず、アンナは清楚なドレス姿を乱すことなくその場に立ち、まっすぐガストをにらみ返していた。
ただひとり逃げ遅れたメイドが、頭からスッポリとテーブルクロスをかぶってうずくまって震えている。
「大丈夫よ、心配しないで?」
おびえて立てなくなったらしい彼女に聞こえるように、アンナはささやいた。

「ガスト殿!!非武装のご婦人に剣を向けるのはおやめください!!」
「このような振る舞いは騎士にあるまじき事ですぞ!!」
ガストの立つテーブルを、軽装の近衛騎士の一団が取り囲む。

「ええい、それでは貴様ら、陰で俺のことをコソコソと『女にも劣る腰抜け』と言い振らし続けていたのは、騎士道精神に反しないと言うかッ!?」
噛み締めた唇に血をにじませ、ガストがわめき散らす。

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