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アラサー冒険者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アラサー冒険者 18

「ねーちゃん…」
最愛の女性の誘いを拒める者などいない。
それを証明するかのように、おずおずと唇どうしが重なりあったのだった。

「きとうの こうかは ばつぐんだー…」
やれやれとばかりに、またしても棒読みでつぶやくシーマ。

一方、自分ををランディだと思い込んだスコルと口づけを交わしながら、彼の首にまわしたマリアの右手が、シーマに向かってガッツポーズをする。
(うーわー………)
親指を立てるサムスアップではなく、ましてやビクトリーのVサインでもない。
(コイツ、やっぱ最低)
場末の酒場などでよく、酔った男たちがこれ見よがしにして見せる、親指を人差し指と薬指にはさんで握り込むアレ・・・いわゆる性行為を示すサインであった。


そうしながら、舌先をスコルの歯と歯のあいだに潜り込ませるのを忘れない。
はた目にはおおいかぶさられているマリアだったが、その実襲われているのはマウントしているスコルのほうなのだった。
(ね、ねーちゃん?)
彼の知るランディのイメージとは異なるその行為に戸惑うスコルであったが、鼻孔をくすぐる甘ずっぱい唾液の香りと、自分の舌先をくすぐる相手の動きに幻惑され、思考は欲望にとろかされてゆく。
(ねーちゃんが、ねーちゃんがこんなに…)
うっとりと目を閉じたスコルのまぶたを、(まぼろしの)ランディの鼻息がなでてゆく。
(……こんなにねーちゃんが、俺を、求めて…)
ただ夢中で犯したウシ女との時とは全く違う多幸感が、今の彼を満たしていた。
(俺も…俺もほしい)
舌先同士を絡み合わせたまま、スコルの心は求める。
(ねーちゃんが、欲しい)
熱病に冒されたように、彼の手が動き出した。

(…欲しいよ)
コルセット型下着のワイヤー構造のために強調された大きなオッパイに、手がかかる。
「ンッ、ふっ…」
スコルの唇でふさがれた相手の喉奥から、苦しげな吐息があふれでた。

「あーあー、犬ッコロ?」
隠し持っていた煙管に葉タバコを詰めながら、
「意外とキスは上手かったっぽいから黙ってたがな?・・・そんな触りかたじゃー相手が痛いだけだぜ?」

「う!?」
我に返ったスコルは思わず顔をあげた。
「だ、だいじょーぶかよランディッ!?」
(・・・アレッ!?)

「あらァー、あなたの大事な人って、ランディって言うのですね!?」
その呑気な声に再び視線を戻すと、彼の体の下から見上げるその女の顔は、ウィンプルをかぶったままの尼僧マリアの顔であった。
「・・アレッ!?・・・お、お前ねーちゃんじゃ!?」

幻惑祈祷はそもそも、襲撃者が惑わされている短い時間を利用して、戦わずして逃走を図る為の術である。
まして術者自身が性的興奮状態にあっては、いつも以上にその持続力は維持できなかったのだ。

「あーあー、バレちまったなぁ」
鼻と口から同時に煙を吐きながら、他人事のようにシーマはキセルをふかしはじめている。

「お前ら、よくもだましやがったなぁッ!!」
さすがに激怒して立ち上がりかけるスコルだったが、

「騙したのはご免なさい・・・」

急に真顔であやまりはじめるマリアの必死な言葉の響きに、思わず動きを止めた。

「ごめんなさい・・・わたしたち、訳があってどうしても、その・・・」
「ただの淫乱女だと思ってくれてもいいが、あたしらチョッと訳アリでさ?」
言いにくそうなマリアの言葉を継いで、シーマが続ける。
「定期的に男どもにヤられねーと、気が狂っちまうようなカラダにされちまったのさァ・・・あるゴキブリ野郎のせいでね?」
(!?…)
茶化してばかりのシーマですら、苦しい過去を語るのが苦痛な様子だ。
しかし、人間など信用できない。

「その証拠になるかどうかわかんねーけどさ・・・ホレ」
疑念の晴れないスコルをよそに、シーマは気絶したままのアンナを爪先で蹴飛ばして、その両脚を広げさせた。

「な、なんだッ!?」

異様な、そして淫ら過ぎる光景に、一族を殺した人間など気を許さぬはずのスコルも驚かずにいられなかった。

「な?・・・奇妙だろう?・・・でもコレ、コイツだけじゃねえんだぜ?」
「えっ!?」
そういってシーマは立ったまま、カエルのように脚を自らくつろげた。

なんと言う光景だったろう。

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