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マッスル・ウィッチ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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マッスル・ウィッチ 9

タンクトップを押し上げる屈強な背筋。
首筋も太く逞しく、肩も筋肉で盛り上がっていた。
剥き出しの脇腹は細く無駄な肉が無く、ショートパンツの尻は引き締まりながらもボリュームがあった。

「誰だか知らんし問わん・・・たが公子に危害を加えんとするなら我が魔導にて粉砕する」

指をポキポキと鳴らしながら言うマリー。
絶対この人魔導士じゃないよねって言うツッコミは誰もしない。

「マリー・ユグドラル・・・貴女の腕前を確かめて来いって話なのよ・・・挨拶がてらね」

謎のオネエはそう言うと構えを取る。
それはマリーとは違うが徒手格闘術の構えである事は一目瞭然だった。

マリーもそれを見ると半身に構える。
それを見たオネエが静かに息を吸った。

そして、息を吐くその瞬間・・・
オネエが動いた。
砂煙を巻く程の速さでマリーに襲いかかると、拳と脚が縦横無尽に繰り出される。
その速さにマリーまで砂煙に巻き込まれ、バシバシと言う打撃音だけが周囲に響いた。

嵐のような攻撃を繰り出すオネエだが、バシバシと言う音の後にビュンと風切る音がして飛び退く。

そして砂煙が収まったマリーを見ると、両腕を眼前で交差させたまま立っていたのだ。

「マリー先生っ!」

公子の叫びに一瞥する事無く、マリーは構えをゆっくり解く。

「あれだけ当ててダメージ無い上に蹴りかますなんて、酷い化け物よねっ!」

楽しそうにそう言うオネエであったが、その攻撃はディックですら度肝を抜かれる程の連続攻撃だったのだ。

「これが・・・我が魔導の力なり・・・」

いや、魔導じゃないでしょと言うツッコミは当然無い。
無論、オネエからも抗議も無い。

「流石はマッスル・ウィッチよねぇ・・・アタシ感心しちゃったわ!」

そう言うオネエはスッとバックステップ。
その速さと距離は追撃を許せるもので無かった。

マリーも全て終ったと見たのか構えを解き、射程外のオネエからも殺気は感じなかった。

「また会いましょうね、今日は楽しかったわぁ」
「よかろう・・・次は全力で来るがよい」

これで全力で無いとは驚きである。

「ただもんじゃねぇな、マリーの牽制をびくともしない人間なんて初めて見たぜ」
「うむ、あの者は……徒手格闘技を極めた者と見た」
この辺りの文明圏では徒手格闘技は途絶えたとされる……それは金属加工技術が発達したからだ。
「ギルトに手配を」
ドワサンは直ぐに動いた。宮廷魔道士はある程度の権力を持つので王の許可が無くても命令を下せる。
「マリー先生、さっきの人……僕と同じ呪を感じた」
アイルの体はほのかに光る。
「……つまり」
「我と同じ魔力異常体質者、そしてあやつは黒幕に通じる」
ネリースは傍に居る従者にある物を持ってくるように頼む。それは伝達用のタイリクオオワシで狩猟用にのみならず伝書鳥として使われる……尚武の国ではどの家庭にも伝書鳥や伝書犬を飼っている事が多い。
「セジュークに居る師匠にこの事を……」
タイリクオオワシには装飾が施されているが全て錬金窯により作りだされた魔法銀であり、魔除けや敵の魔法を跳ね返す効力がある。

普通ならセジュークまではハト程度で済むが、ヴァーランド公国貴族の多くは彼女の様にタイリクオオワシの様な猛禽類を宛がう事が当たり前である。ネリースは通信筒に書状を丸め入れると一目散にセジュークへと飛行する……。
「こりゃあ他の奴らも呼んだ方がいいかもな」
ディックの傭兵としての勘がそうさせた。



その日の夜、ネリースとマリーはドワサンの手引きで密かにアイルの生活区域に居た。
「“淫魔の痕”は強力な半面、毎晩施術を施す必要があります、故に一昔前は滅ぼした王の子弟らに征服者がする事が多かったのですよ」
「それは書籍で知っているが……まさかっ!」
ドワサンの顔が青ざめる。
「アイル様をお世話をする者に主犯格がいる……」
マリーの言葉にドワサンの顔に血の気が失せた。
「大丈夫よ、私ですらアイル様の身体を見て分かったし……これは特徴が出にくい難解なモノなの。更にモノがモノだけに実際に見た事がないって言う魔道士が多いのよ」
ネリースが若かりし頃は戦乱であり今の夫も騎士として共に戦場を駆け巡っていた。モンスターよりも人間を殺す事が多かった時代……国を滅ぼすと王は確実に処刑され残された妃やその子供らには征服者の性奴隷にされる事が多かった。女は誰でも股を開き、胸を隠す事を忘れさせられるが、男児や少年は生殖機能を無くされてケツ穴を差し出す事を覚えさせられる。それが淫魔の疵と呼ばれる呪いだ。今でも魔術士崩れが奴隷商人と手を組んで施しているケースもあるのでセジュークでは禁忌魔術の一つとなっている。

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