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マッスル・ウィッチ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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マッスル・ウィッチ 6

「マリー殿、貴方は」
「……我は昔の事は覚えてない、セジュークの孤児院にて我が師と会うまではな」
マリーはそう言うとアイルが採集した薬草に関して色々と教えていく。剣武は無理かもしれないが魔道師の素質はあると見ているのだ。
「はっあっ!」
木の上から盗賊コボルトのバックアタックをソニアは持っていた剣の一振りで胴体を切断し一匹倒した。
「(普通なら魔道師を狙う筈……あっ)」
盗賊コボルトはマリーの溢れ出る闘気を察してソニアを襲ったのである。
「ザコ風情が、我が魔法を見よ!」
マリーは拳を地面にたたきつけた瞬間、ソニアにも見える程の魔力光がおぼろげに出た。囲んでいた残りの盗賊コボルトは我先に逃げたのである。しかもアイテムを落して……。
「……これで襲われる事は無い、我が魔法を見たか」

魔法じゃありません (by天の声)

ソニアも唖然としたが彼女の実力を垣間見た事は事実であった。


「それか……まあ、よくある光景だよ」
剣士が集まる広場にてディックはソニアから相談を受けてあっけなく言う。傭兵だが同時に若手剣士の指導役をしており、ソニアも教えを受けている一人である。
「???」
「マリーが入っただけでザコのモンスターが居なくなってダンジョン外に溢れ出た事もあるんだよ、かなり高いレベルの所でもな」
「彼女は祖国や昔の事を覚えてないって言うが……」
「本当さ、セジュークの産まれない事は確かだな」
ディックは苦笑する。


マリーにも苦手なモノがある、一つはパーティーだ。セジュークの時は師匠の随伴(と言うかボディーガード)で渋々出たが戯言を言うのも苦手な彼女にとってはダンジョンで暴れるか不届き者を成敗した方が楽しいのだ。
今回の場合はヴァーランド公国公子の家庭教師と言う事で準家臣に該当するので出席せざる得ない。
「はぁ」
マリーは渋々と言う感じで魔道士の正装に着替える、セジュークは各国に魔道士や魔道師を派遣する関係上ギルトに登録されている者は正装一式を持つ事が義務付けられている。これはパーティやら式典の際には必ず身に付ける事を意味するのである。マリーもセジュークでの式典には幾度も出ているが良い思いはした事は無い……他の魔道士からもあからさまに嘲笑される事も多々あり耐えるしかない、そんな翌日には周辺にある複数のダンジョンで憂さ晴らしと言わんばかりに暴れるのである。お陰で絶滅危惧種になった上級モンスターも出たので魔道士ギルトもここ数年は余程の式典でない限りはマリーを招待しない様にと言う暗黙の了解すら決められた。
「マリー」
公子であるアイルはマリーの正装を見て微笑む。
「アイル様」
「うぁ……何時もと違うんだ」
「これはセジューク魔道士ギルトの正装です」
正装と言っても何時も装束とは変わりはないが布地が異なり装飾品も質素ながらも装備する。

マリーが入ると既にパーティは始まっており、主役の登場に公国に属する貴族や騎士が注目する。ヴァーランドの様な国では公国に仕える魔道士の地位は重要視されるがこの国で生まれた魔道士なら大した実力も無いのにお召しにされるのである……ドワサンは一級王宮魔道士であるが実戦経験が数回程度である。普通なら王宮魔道士としては話にならないレベルだがヴァーランド出身であるので今の様な地位がある。
「貴方がマリー.ユグドラルですね……」
「如何にも」
その婦人はマリーを見るなり言う。
「婚約者とか居るのかしら?」
マリーにとっては予想外の質問だった。
「???」
「居なかったら私の息子を紹介したいの」
マリーでさえも面喰らうがそれにはこの公国の成り立ちが大きい。貴族と言っても元は傭兵や冒険者……奥様方も若い頃には冒険者だったと言う事も珍しくない。
「公子の事で手一杯でそのような余裕はありませぬ」
よくパーティーではあることだが、マリーはこの婦人の視線にとある事に気づく。
「ご用件はそれではないですな?」
するとその婦人は耳打ちする。
「公子の呪いの事はお気づき?」
「はい」

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