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マッスル・ウィッチ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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マッスル・ウィッチ 5

「この武門の国家の世継ぎとして相応しく育て上げてみせよう」

その表情は美少女ながら、まさしく雌獣のようであった。



その頃、公子の護衛騎士ソニアは王宮の庭で剣の稽古をしていた。
尚武の国らしく、女子と言えど剣を嗜む者は多い。
貴族であれば猶更で、特に貴族の女子が通う王立の女学院ともなれば嫁入り修行の一環として剣術が入っている程である。

とは言え、いくらヴァ―ランドでも殆どの女子は女学院卒業後結婚する道を選ぶのだが、中にはソニアのような騎士を志す者もいる。
その大半は嫁の貰い手が無いような者なのだが、ソニアは逆に抜群な器量の持ち主だった。

見合い相手に事欠かないソニアだったが、それに見向きもせず騎士を志し、公子の護衛騎士と選ばれたのだ。
これはある意味、女騎士にとって最高の栄誉とも言える地位で、もしかすれば公子の妾、悪くとも最側近と言える立場だ。
無論、本人もそれを誇りにしていた。


そのソニアだが、少々苛立っていた。
その苛立ちの原因は・・・
あの魔道士だ。

マリーの第一印象は噂とは違う美少女に面喰ってあまり覚えていないが、どことなく危険な『匂い』がしたのだ。
直観的なものであるが、隙らしきものが見当たらない。
彼女が知りうる人物にも、そんな雰囲気を醸し出す人物は幾人もいるが、その誰よりも異質な匂いだった。

例えばだが、猛獣や魔物を前にしたような匂い・・・
そのせいか、どことなく不安を感じ、それが苛立ちの1つになってる木がする。

後は、アイルがマリーに心許しかけている事も彼女を苛立たせている1つの要因だった。
そっちの方は、本人にも理由は分かっていない。
だが、苛立つというやつだ。

確かにアイルに仕えて浅いが、忠実な彼女はアイルから絶大な信頼を得ていたので、苛立つ必要性は本来なら無い筈だ。
それはユリアに対して感じているのと似たような苛立ちだが、本人は理由を理解しないまま苛立ちをぶつけるように剣を振り続けるのだった。


そしてもう一人のユリアは・・・

「殿下、お茶の準備ができましたよ」
「うん、ありがとうユリア」

主君の為にお茶の準備。
侍女としての日課を果たしていた。

家庭的な性格に母性溢れる豊満なボディ。
ある意味、侍女と言うのが天職のような女性だ。
アイルが幼い時から仕えてきた姉や母の様な存在。
信頼もさることながら、アイルは彼女にかなり甘えている節があった。
勿論、男女関係の甘えでなく、弟や息子のような甘えであったが・・・

「マリー先生が優しそうで良かったよ」
「はい、優しくてお綺麗で、本当に良かったですわ」

お茶を飲みながらそう言うアイルにユリアも微笑みながら相槌を打つ。
噂で恐れ慄いた2人だったが、意外に普通そうなマリーに安心したのだ。
その噂も、巨大な尾ひれがついたのだと勝手に思っていた。
勿論、誤解であるが・・・

ユリアとしては“計画”の為にここが正念場であった……目の前に居る彼を騙すには心苦しいが。

数日後、今日は郊外にて魔法の触媒になる薬草の採集を兼ねてマリーはアイルと共に出かけていた。
「ここは」
「“愚者の神殿跡”、ダンジョンとしては初心者向けです」
幾多の大樹が石作りの神殿の柱に沿うように生えており、昼間でも薄暗く感じる。ここは薬草の宝庫でありある程度腕がある魔道士なら護衛無しでも行動する事が出来る。
「マリー殿はどうして公子をここに?」
「書物ばかりで知れば本来の姿を知らず、命を落とす事もある」
ソニアは言い返せない、正論だからだ。
「ここは万が一の時には身を隠すには丁度良い」
「!!!」
「ソニア殿は薄々気が付いている筈だ、この国の歴史を」
これはマリーでも知っている事だが数十年前まではヴァーランド公国も都市国家に過ぎなかった。今の大公が傭兵から覇い上がり、国主として戴冠した頃は周辺国との争い事が絶えずこの国も常に大国からの侵略の危機に曝されていた……が、ライオスは知将であり武人をひきつける何かを持つ、傭兵時代に巡り合ったその美女こそ、都市国家群ゼトラスの大公の娘である事が判明。即ちアイルの母親である……やがてゼトラスは次の大公の代に内乱により混乱、それを鎮圧したのがライオスであり結果的に今のヴァーランド公国になったのである。
「そんな事は……」
「人の恨みとは早々忘れる事は無い……我の祖国は今は無い」
「!!!!」
マリーはそう告げるとアイルの元に足を運ぶ。

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