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マッスル・ウィッチ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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マッスル・ウィッチ 29

「安心しろロザンナ、そちらにおる豚の尻殿は由緒正しきロッテンハイム家ご令嬢、護衛騎士ソニア・グレン・ロッテンハイム殿だ。」
「あらあらまあまあ!そうでしたの?なんとも勇ましい豚の尻なのでしょう?」
「はぅ…あぁ…どうも…。」

先程ロザンナはソニアを男色と誤解し、雑然とキマイラ合成獣めいた、畜生だらけの罵倒を並べ立てていた。
しかしマリーの機転でニックネーム被害は最小限、いやソニアは只の尻から豚の尻へと進化したのだ。

それなり雑談を交わしながらも、やはり未だロザンナは包丁みたいな短杖を仕舞う気配はない。
気違…いや精神的な意味でも病弱だから仕方ない。

だがそんな彼女も、礼節ある高貴な家系で生まれ育った深窓の令嬢、少女であり淑女であった。
可愛らしい仕草でソニアの前に、へちょっと女の子座りする。

だから例え弟を寝取られたヤンデレでも、同じ高さの目線で心を通わす努力(だけ)はする。
まるで身体の一部なのか、それとも呪いのアイテムなのか、包丁(短杖)はその手を離れない。
三年前、ロザンナ十一歳ハイン九才、弟が異性に興味を示し始めた頃、姉は金物屋で出刃包丁を購入した。

それがこの出刃包丁型魔法短杖ヤマナイアメなのである(※もう出刃包丁でいいかな)。
それを手にしたロザンナの姿こそ寧ろ嘘偽り無き(雌豚に対する)自然体なのだ。

恥ずかしがり屋さんのロザンナは包丁を握りしめたまま、ふにょっと頬杖を突く。

おともだちになろう

互いの吐息がかかる程、あと僅かで唇さえ届く位置から、ロザンナはソニアに微笑みかける。

「ねえ豚の尻。」
「ふひゅあい?」

はにかみながら、ロザンナはソニアに問いかけた。

「ハインちゃんの…初めて…貰って…どう…だった?」
「ひゅごふう…しゅごく…いいのぉ〜!」
「そっかそっかあ…そんなにいいの…雌豚みたいな悲鳴出ちゃう程…いいんだ?」
「ぷひぃあ!ふおほぅあああ!」

元々輝きが薄いロザンナの赤黒い瞳から、完全に光が消え去る。

「死んじゃえ。」
「らめひぇ〜?」
「姉上?めっ!」

一触即発の危機を回避出来る者、ハインケル・フォン・ハイデルベルク。

「姉上とは後で遊んであげるから、よい子で待ってて…ね?」

小癪な弟
×
甘い囁き
×
デコピン

ロザンナが窓から放り出され、至福の鼻血で血の雨を降らせながら夜空を舞い、星となった。

「先生、駆逐しました。」
「うむ、精進せいよ?」

だがヤンデレは滅びていない…またどこかの井戸から…這い出てくるだろう。

因みにここは二階の部屋であったが・・・
落ちても死にはしない高さだが、この下は土や芝生や植え込みですらなく石畳の通路・・・
そしてかなり強い音で『ドスン』と言った気がするが・・・
ハインケルもマリーも全く問題としていない。

このヤンデレ姉とマリーとの初対面はハイデルガルト伯爵家の屋敷。
屋敷の玄関前で出迎えたネリースとハインケル。
そこに割りこむようにロザンナが二階の自室から飛び降りて颯爽と駆けると、マリーの土手っ腹に件の出刃包丁型魔法短杖ヤマナイアメを腰だめで刺してのけていた。

だが、いくらブラコンヤンデレ姉とは言え、相手はマッスルウイッチである。
いくら弟への想いを込めようが、マリーの腹筋を貫くどころか傷一つ付けれずに弾き返されている。

更にマリーはロザンナの後ろ襟首を引っ掴んで、身体ごと数回あまり回転して投擲。
見事に同じ部屋に放り込んでのけていた。

余談だが、ハイデルベルク家に三代に渡って仕える老庭師のヨーゼフによれば、『あのような美しい放物線は久方見たことが無い』との事。

彼がその前に見た美しい放物線が何だったかまで語られる事は無かったが、少なくともこのヤンデレ娘もマリーに敵わなかったと言うことだけは確かであった。

そして、適わないにせよ、このヤンデレ娘ロザンナが深窓の令嬢めいた容姿や雰囲気に似合わず、雑草並みの生命力を持っている事も確かだった。

だが、それより問題があった・・・
こんな娘を公子にあてがうってどうよ?


マリー先生的にはきっと問題ないのだろう・・・

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