ユリアナ姫の大冒険 7
「ラッキー、丁度お風呂に入りたいと思っていたのよね。早速入らせてもらうわよ」
周りを確認すると棚があり、篭がたくさん置いてあったので、そこへ剣と楯さらに下着を入れた。
そのまま湯加減など確認せずに温泉へと身を委ねた。
普通は熱湯で無いか確かめてから入るが危機意識など欠片もないユリアナはそのまま入ってしまう。
さらに言えば、こんな森の奥なのに、明らかに人がいる痕跡があることに何の疑問も抱いていないのである。
ユリアナが温泉を楽しんでいると、ある集団が温泉に到着した。
男は筋骨隆々の大男ばかり、みな武装をしていた。
ほとんどは男ばかりだが女もいる。
服や鎧を着ているものもいるが、裸同然の格好をした娘もいる。
彼らは傭兵団兼盗賊団『餓鬼の軍団』の一行であり、温泉場は彼らの隠し湯治場だったのだ。
彼らは一応は傭兵団であるが山賊団と紙一重の違いでしかない。
強さは大陸随一であるが、凶暴さも随一である。
戦争中は勇猛に戦うが、終わった後の略奪も凄まじい。
男は殺し女は犯す、そして気に入れば連れ去る。
そんな凶暴集団の湯治場に入り込んでしまったのだ。
しかもユリアナの鼻歌は彼らの気づく所となった。
「なにもんだっ?!」
「ひぃっ?!」
湯治場に雪崩れ込む屈強な男女。
ユリアナも一応心得があるから驚きながらも剣を取ろうとするが、半裸の女が放ったクロスボウの矢が剣を弾く。
「女だっ!、捕らえろっ!!」
「ひいぃぃっっ!!、なっ!、何よっっ!!!」
慌てて水を蹴上げながら温泉から飛び出るユリアナ。
裸のまま転がるように後ろの茂みに飛び込む。
「ナメやがってっ!!、追えっ!!」
「なによぉぉぉっっっこれぇぇぇっっ!!!」
裸のまま逃げ出すユリアナは奥へと走っていく。
彼ら餓鬼の軍団も追いかけようとするが、リーダーらしき者が静止させた。
リーダーとおぼしき者は半裸に近い格好の美女だった。
女であるが屈強かつ美しさも兼ね備える肉体をしていた。
彼女の名はヴォニータ。
狂える雌獅子として恐れられる傭兵団のリーダーで、ユリアナとはこの後大きな因縁を持つことになるのだった。
「この奥は淫魔の森だ・・・あの素っ裸の女が淫気に当てられてヨガってる頃に回収すりゃいい」
「そうだな・・・裸の女なんぞいい獲物だ」
男たちはニヤリと笑い女達は肩をすくめる。
彼らはこの森の奥を熟知している。
だが、何も知らないユリアナは恐怖に駆られながら森の奥へと走って行ったのだった。
「はぁ・・・はぁ・・・どうしよう・・・」
裸のまま途方に暮れるユリアナ。
森の奥の小川らしい所まで辿り着いたが、最早方向感覚も失っていた。
寒くない季節だから裸でも多少は大丈夫なのだが、湯冷めした為に身を震わせながら自分自身を抱きしめる。
そして湯冷めで身震いしたせいで小水を催してきたのだ。
「ここでするしかないわね・・・」
ユリアナは小川べりで背を向けしゃがむ。
そして足を開く。
彼女の黄金の叢の中にある慎ましげな割れ目から黄金の液体が放物線を描き水際に落ちる。
「はぁ・・・」
ホッとしながら小用を足すユリアナ。
ようやく落ち着いたのだが、困った事に彼女はここにきても警戒心はなかったのだった。
故に彼女は水中を這いよる幾重もの蛇のような物体に気づくことはなかったのだ。
一方、ジョルジュの方はというと、森をさ迷い歩いていた。
「早く、ユリアナに追いつかないと」
足の痛みに最初のうちはたいしたことはないと思っていたがだんだんとひどくなり、最後は引きずるようになる。
早く娘の方へと向おうとするが、彼が向っている先は見当違いの方向で進めば進むほどお互いにはなれていってします。